早稲田実業初等部を選んだお受験ママの本音 「生活力」も問われる点が慶應幼稚舎と違う
この話だけでも、以前お話を伺った慶應義塾幼稚舎とは真逆であるな、と感じる。
なんせ慶応義塾幼稚舎においては、掃除はすべて用務員の仕事であり、子どもたちは掃除などしないのだから。
「生活力を身につけさせるために、自宅でも食事の前後に台拭きをさせたり、洗濯物を畳ませたり、自立・自活を意識した生活をさせるようにしていました」
――なるほど……それは、ご家庭での準備もかなり必要になりますね。
「そうですね。年長さんになってからは幼児教室に週4日、毎日2.5時間の自宅学習、それから生活力を養うお手伝い。……子どもらしい生活ではなかったかもしれませんね」
苦笑する聡美さんに、取材班はやはりあの質問を投げかけてみた。
お受験の準備にかかった費用は30代の平均年収レベル
――幼児教室などお受験対策のための費用は、どの程度でしたか?
うーんと唸った後で、聡美さんは声のトーンを少し落とし、教えてくれた。
「年長さんの時は月額18万円にプラスして春季、GW、夏季、直前の特別講習などを受講して……総額は年間400万円弱でしょうか」
比較するのも憚られるがあえて記述すると、30代の平均年収が400~450万円と言われている。
都内の有名私立小学校を目指す華麗なるお受験には、もはや30代の年収レベルの費用が必要なのである。
それだけの資金力を有する家庭が集まる早稲田初等部。母親たちの集まりもそれは華やかなのではないかと推測されるが、そういうものでもないらしい。
――ママ友の集まりなど、随分華やかなのでは?
「いえ全然。早稲田ママは、地味ですよ」
取材班の邪推を、聡美さんはあっさり否定した。
「早稲田実業は“去華就実”を掲げていて、ママたちも皆地味にしなくちゃという意識が強いので。私も学校に伺う際はネイビー族です(笑)」
30代の平均年収並の金額を子どもの教育に投資できる財力があっても、決して華美に飾らず実を重んじる。
その精神の遵守は、子どものみならず母親にも求められているのである。
「周囲の目が気になって、最近はSNSも全く投稿しなくなってしまいましたね」
……そう言って、聡美さんは苦笑した。
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