「残念なエントリーシート」に欠けている視点 自分の歴史を書くだけでは説得力がない

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ESのマニュアル本を参考に、たとえば
〈社風に共感しました〉
という具合に、志望動機などの欄に見出しを立てて書いたとします。

志望者が数千人いる企業に、何百という受験者がマニュアル本にある形式で書いてくれば、採用担当者は思うでしょう。「ああ、今年流行の書き方ね。マニュアル人間か」と。その時点で、印象はぐっと落ちて、あなたが伝えたいストーリーがしぼんでしまいます。

見出しを立てて考えをまとめるということは、大切なことです。しかし、マニュアル本は就活生がこぞって読んでいます。そのとおりに書けば、埋没することは目に見えています。企業側は、何百通、何千通ものESに目を通すということに、まず気づくべきです。

具体的なイメージが湧いてこない志望動機

教育関係の業界を目指そうとする際の志望動機を例に取って見てみましょう。

〈志望動機〉
日本は格差が激しくなっている。私は子ども達の貧困を救いたいと思っています。そのためには教育の機会を与えるべきだろうと考え、御社を希望しました。

社会課題を据えている点は、評価できます。若者らしい意欲も伝わります。しかし、これを読んだ採用担当は、「日本は格差が激しくなっている」「子どもの貧困を救いたい」というのは、具体的にどういうことなのだろうという疑問を持ちます。

なぜならどこかで読んだような言葉が並んでいるだけで、ここからは志望者のヒストリーもストーリーも浮かんでこず、具体的なイメージが湧いてこないからです。ESを通過しても、そこに質問が集中するでしょう。答えに窮する姿が目に浮かぶようです。そうならないためにも志望動機となった切っ掛けを自分の体験に引き付けて書いていくようにします。

・寄付や補助金で運営している無料塾で子どもたちを教えていた
・親が十分な収入を得られない子どもたちが通っていた

――といった経験談があれば、そこから書き出せばいいのです。

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