「残念なエントリーシート」に欠けている視点 自分の歴史を書くだけでは説得力がない
人工知能(AI)が発達していく時代です。各企業も大きな転換期にきています。これまでのように大きな会社で1つの歯車として甘んじていくことはできません。会社という組織の中で、あなたという個人をどう際立たせていけるかが重要な時代になってきています。こうした状況の中、企業はこれまでの枠からはみ出していける可能性を持った人材を求めています。新しい視点で物事を見て、考えることができる人材の出現を切に願っているのです。
それには、あなたがあなた自身を客観的に見て、長所・短所を把握して、これまでの人生とこれから社会生活を結び付ける大きな人生ストーリーを自らの言葉で語ることができなくてはなりません。もちろん、20歳代前半で語れるほどの人生は、そう多くはないかもしれません。それでも、あなたにはあなたしか体験しえなかったヒストリーが必ずあります。そのヒストリーをストーリーとして語れるかどうか。ESが通るか通らないかの分かれ道はそこにあるのではないでしょうか。
テクニックだけではESは書けない
世の中には、文章やESの書き方を指南する本があふれています。しかし、その多くは文章技術(テクニック)に終始しています。「文は短くしよう」「主語と述語を明確に」……。その部分だけを取り上げれば、どの本も同じです。ただし、テクニックには、なぜそうなるのかという論理的な説明が欠かせません。
「日本語は論理的な言語ではない」という見方もあるようですが、われわれが日常書いている文章は、意外なほど論理的にできています。そうでないと、わかりやすい文章にはなりません。芸術的な名文は書けなくても、誰が読んでもわかりやすい文章にするには、テクニックの裏にある論理をある程度知っていたほうが、応用が利きます。それは「文章を書くときの思考法」にも通じる部分があるのです。
冒頭、ESは単なる履歴書とは異なる、と書きました。履歴書にもESにも、学歴・職歴や、長所・短所、志望動機などを書く欄があります。しかし最近、企業のなかにはフリースペースを与えて絵や写真、図表などを使って自由に書かせるやり方も増えています。履歴書には、こうしたヒネリはありません。
つまり、企業側がESを通して求めているのは、単なる「入社試験のための書類」ではなく、「あなた自身のプレゼン資料」を作成しなさいということでもあるのです。そうであればこそ、テクニックだけに依拠したマニュアルでは、思うようなESを書くことができない理由がわかるのではないでしょうか。
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