「藤井四段ブーム」で、将棋界はどうなるのか

藤井四段と対局経験のある佐藤会長を直撃!

――最近のプロ棋士の対局では、短手数で勝敗が決まることが増えているのも特徴ですね。

(玉を囲う)穴熊戦法で戦うと、なかなか王手がかからないのでラッキーな勝ち方ができることがあります。だから、多くのプロ棋士はガチガチに囲われる前に駒をぶつけて勝負に出ています。それで(穴熊がプロ棋士の間で流行した頃に比べれば)随分と短手数になっています。それが最善かどうかはわからないところが多いのですが。

――対局中にスマートフォンで人工知能に「次の一手」を聞くなどの不正を防止するために、タイトル戦では金属探知機を導入しています。スマートフォンなどの情報端末を対局場に持ち込むことを禁じたほか、対局中の外出も禁止しました。

コンピュータソフトの急激な進歩に対応が遅れていた部分がありました。今は連盟の規定とは別に議論をしているところです。「どこまで細かく定めるか」という深さの面で、規定作りの難しさを実感しています。たとえばチェスでは明文化された細則があります。分厚いルールブックもあるのですが、将棋でそこまで定めるのは難しそうです。ただ、落ち着いた環境で対局に打ち込むための規定はほしいところです。

――どのような方向の議論がなされているのでしょうか。

規定そのものは簡略化して細かいことは理事会でその都度決める、という方向と、事細かに明文化する、という方向です。

どうすれば強くなれるのか?

佐藤康光(さとう・やすみつ)/1969年、京都府出身の47歳。現在11人しかいないA級の現役トップ棋士の1人。難解な局面をまとめ上げる構想力、奇想天外な着想から勝利を導く発想力に定評がある。昨年2月、前会長の谷川浩司棋士の辞任で新会長に就任(撮影:田所千代美)

――人工知能がプロ棋士を負かす時代になった今、プロ棋士はファンに何を見せていくのでしょうか。

コンピュータソフトの進化で、将棋というゲームの奥深さがあらためてわかりました。人間もソフトもまだまだ強くなれる。藤井四段の活躍は、人間同士の勝負の面白さをアピールできました。勝利を目指し、相手に立ち向かっていく姿が共感を呼んだのです。「人と人の対局から生まれる魅力を見せていくことが連盟の役割」ということを、藤井四段の活躍で再認識させられたといえます。

――会長自身は研究において人工知能をどう生かしていますか。

終盤のチェックに使うことはありますが、序盤の研究には使っていません。私は自分の頭で考えるのが好きで、他人の考えたことを知るのは元々好きではないのです。人からいわれた手を指すのが嫌いだからだろうと思います。私にとっては、人から言われた手を指すことによるモチベーションの低下リスクの方が大きいです。

――子供を将棋の強い子に育てるにはどうしたらいいでしょうか。

人それぞれの方法をお持ちだと思いますが、私が考えるには、まずは相手(両親など)が負けてあげること。というのは、将棋の魅力のひとつは勝った時の喜びにあると考えるからです。「勝って自信をつける」ということは往々にしてあります。あとは興味を持たせる、より好きになってもらう勉強法を提案すること。やはり環境が大きいと思います。

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