「藤井四段ブーム」で、将棋界はどうなるのか

藤井四段と対局経験のある佐藤会長を直撃!

佐藤会長は藤井四段について「勝利を重ねる中で強くなっていった印象」と語った(撮影:田所千代美)
空前の藤井聡太ブーム、久々の将棋ブームが到来している。2016年9月、14歳2カ月でプロ棋士(=プロ四段)となり、62年ぶりに史上最年少記録を更新。2017年にはデビュー以来の連勝記録を「29」に伸ばし、公式戦連勝記録を30年ぶりに更新した。佐々木勇気六段に敗れ記録は途絶えたものの、尾を引くことなくその後は勝利。7月19日に15歳になった藤井四段は、7月21日現在、勝率9割台と驚異的な水準を維持し続けている。
藤井四段直筆の扇子は店頭でもネットでも即完売。子供時代に使った公文式の将棋盤は品切れ状態が続く。対局中によく出前を注文する千駄ヶ谷駅前の蕎麦屋「みろく庵」には「藤井四段と同じメニューを食べたい」とファンが殺到。藤井四段には取材依頼が殺到しているが、対局と学業に専念させるため、日本将棋連盟は断っている。
そこで、藤井四段と対局経験もある佐藤康光九段・日本将棋連盟会長に、今回のブームを機に将棋やファンをどう広げていくのか、今後の展望を聞いた。

一時代を築く棋士の片鱗が見える

――今の藤井四段をどう見ていますか。

正直、想像以上の活躍をしています。藤井四段と対局したことのある棋士も、彼の成長ぶりに驚いています。昨年9月にプロ棋士になった時点で評価は高かったが、いきなりこのような大記録を作るとは想像もしていませんでした。

中学生でプロ棋士になったのは藤井四段で史上5人目。過去の4人(加藤一二三九段〈6月引退〉、谷川浩司九段、羽生善治3冠、渡辺明竜王)とも大変な実績を残しています。とはいえ「ここまで強いとは」と誰もが驚いている。今の藤井四段は「寝て起きれば強くなっている」といわれる年頃で、ファンは日に日に強くなる姿を目の当たりにしている状態です。

対局直後のインタビューの受け答えにも目を見張るものがあります。勝敗が決した対局直後は興奮状態にあり、私でも普通に話をすることがなかなか難しい。そういう意味でも驚いている。両親が日々の教え、しつけをしっかりされていたのだなと感じ、素晴らしいなと思います。

――公式戦ではありませんでしたが、4月にスマホテレビ局・abemaTVの企画「炎の7番勝負」で佐藤会長は藤井四段に敗れました。直接対局してみて、どんな強さを感じましたか。

対局自体はちょっとした「得(=アドバンテージ)」を藤井四段に徐々に広げられる展開でした。藤井四段が本来の強みである「終盤力」を発揮しないうちに、私が負けてしまいました。普通の手を積み重ねられて負けた感じだったので、(その後に連勝記録を更新するほど)強いという印象は正直なかった。その後、連勝する中で強くなっていった印象です。

逆の見方をすると、一時代を築く棋士は往々にして「自然に指して(いるだけなのにいつの間にか)勝つ」ケースが多い。デビュー間もない藤井四段はすでに一時代を築く棋士の片鱗を見せているともいえます。

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