「藤井四段ブーム」で、将棋界はどうなるのか

藤井四段と対局経験のある佐藤会長を直撃!

――インターネットの進歩で、棋譜を入手しやすくなったのも大きいのではないでしょうか。

大きいですね。昭和30〜40年代は大阪の棋譜を東京で入手するのに1~2カ月かかることもありました。棋譜データベースもありませんでした。だから、一つの新しい手を何度も使って勝利を重ねる棋士もいました。

私が若い頃は、対局が行われている将棋会館に行き、現地で勉強するとか、大阪から棋譜のコピーを取り寄せるとか、棋士個人が努力しないと最新の棋譜に触れることは難しかったのです。

その頃からすると、今は棋譜データベースがあり、当日の棋譜も容易に手に入ります。感想戦のコメントやプロ棋士の解説もすぐ読める。そういう意味では均等に情報が与えられていて、強くなるための情報に昔ほどの差がなくなっています。

プロはアマの模範となる手を指すべきか?

――5月の会長挨拶では将棋ブームを「一過性にすることなく」と発言されました。

将棋教室や将棋道場を訪れるファンが急増しています。おかげさまで連盟が発行している月刊誌「将棋世界」の部数も伸びています。アマの将棋大会の参加者も以前に比べて5割増し、大会によっては倍増というところもかなりあります。

ただ、想像以上のことで、受け入れる場所を確保する問題や指導者不足などの課題も出てきています。今は1日1回だった指導を2回にしてもらったりして、指導熱心な方に支えてもらってはいますが、対応できていない部分も多いのです。一朝一夕にできることではないのでしょうが、連盟として何とか解決していきたい問題です。

――一方でプロとアマとの間の距離が広がっているのではないでしょうか。どれだけのファンがついていけているのか、不安になります。

アマチュアの方の手本となるような、「アマチュアがまねしたくなるような手をプロ棋士は指すべきだ」というご意見は以前からあります。(アマチュアの模範となる手を指そうと心がける)そういうプロ棋士も存在しますが、一方でプロ棋士は好奇心が強く「この局面でどちらが優勢か、という課題の答えを探求したい」という考えも持っているものです。

ただ、地方に指導対局に行くと、今でも人気があるのは大山康晴15世名人(故人)が好んで指されていた(飛車を4筋に振る)四間飛車だったりします。(飛車の位置を変えない)居飛車でも矢倉囲いの人気が根強いです。一方で(プロの間で最近よく指されている)横歩取りはアマチュアの方にあまり人気がないようです。

がっちり玉を囲って戦うのが将棋の基本スタイルであることは今も昔も変わりはないのですが、序盤に「少しでも得ができないか」と突っ張り合い(主導権争い)をしているのが現在のプロ棋士の姿。それでアマチュアの方にはわかりにくくなっているのだろうと思います。

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