老後に月30万円使うには貯金はいくら必要か おカネを増やすための「360リスク法」とは?

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まず、最悪の状況を考えます。最悪の状況とは、リスクの取り方にもよります。仮に「内外の株式のインデックスファンドを組み合わせた、効率的で低コストな運用方法」を前提とすると、「リスク資産」(高い利回りを得られるかもしれないが、元本割れをする可能性もある資産)部分で「1年間に運用額の3分の1を失うような状況」です(ただし、この最悪の場合と同じくらいの確率で運用資産が4割くらい増える場合もあります。そして、リスク資産部分の平均的な利回りはおおよそ年率5%くらいではないかというのが、現在の、年金基金などプロの運用業界の平均的な認識です)。

リスク資産の運用に失敗しても、生活設計に問題がないかどうかを確認してから、リスク資産に投資します。これが基本です。

「リスクを360で評価する」とは?

では、具体的にいったい「いくらまでの損」なら問題が小さくて済むのでしょうか。経済評論家の山崎元さんが書かれている「リスクを『360』で評価する」という簡単な方法があります。

詳しくは、共著『人生にお金はいくら必要か』のp.157を読んでいただきたいのですが、 「360」とは、老後を65歳と決め、65歳からの老後期間を30年(65歳になってから、95歳になるまで)と考えた場合の月数(12カ月×30年)に由来しています。

つまり、損失の金額を360で割ると、「老後のひと月分の取り崩し可能額がどれだけ減るか」が計算できますよね。たとえば、360万円の損失は、老後の1カ月当たりの生活費が1万円減ることに相当します。そうすると、360万円損しても、許容できるという方は、360万円×3=1080万円まで、リスク資産に投資することが可能、というわけです。

これらを理解していただいたうえで、「人生設計の基本公式」を使って、工藤さんのケースを見ていきましょう。人生設計の基本公式は、ひとことで言えば、老後を「65歳以降」と定義したうえで、「現役時代の手取り収入の何割の水準で生きるか」を決め(平均は7割)、現役時代(たとえば65歳)に貯めるべき「必要貯蓄率」(手取り収入に占める割合)を割り出すことです。詳しくは、過去記事「あなたは65歳までにいくら貯めればいいのか」を読むと、30秒で皆さん自身が貯めるべき額もわかるし、すぐにコツがつかめます。

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