シンガポールで輝く日本発の異色ラーメン店

有力8店のメニューを1店で再現できるワケ

1店舗で8軒の味が楽しめるのは、まさに斬新

運営するのは、グルメイノベーションだ。全国津々浦々の行列店100軒以上のラーメン・つけ麺をお取り寄せできるインターネット通販サイト「宅麺.com」を運営する企業である。同サイトで扱っている商品は、すべて店舗で実際に出されている商品と同じという点が支持され、年間で20万食以上を販売するまでに成長している。今年7月からは、スープと麺をパッケージにした日本と同様の通販スタイルをシンガポールでも始めた。

なぜ、1店舗の中に複数の、しかも有名なラーメン店のメニューを出せるのか。それも遠く離れた異国の地である。そこには2つの仕掛けがある。まずは、グルメイノベーションと各ラーメン店との結び付きだ。

ラーメン店にとって命ともいえるレシピを委ねるわけ

日式ラーメンを味わうお客様はほとんどが現地のシンガポール人だ

グルメイノベーションの井上琢磨社長が明かす。「オープンに際して、弊社のスタッフを実際にそれぞれの店舗へ修業に行かせ、正確な作り方を学んでもらいました」。ラーメン店には正式なレシピがないことも多く、まずレシピおこしから一緒にスタートすることがほとんどだったそう。そこでスタッフが学んだ味をシンガポールで再現し、オープン前には店主にも現地に行ってもらい、最終調整を完了した。

センバダンにある食品工業団地。スープ作りはこちらで行われる

レシピはラーメン店にとって命ともいえる。それを伝授できたのは、「信頼関係の一言に尽きますね」(井上社長)。通販サイト「宅麺.com」における各店との付き合いを通じて、誠実な運営や売り上げ実績などの信頼を積み重ねてきたことが大きい。

とはいえ、8店舗のラーメンを1度に提供するには8通りのスープ、麺を作成しなくてはならない。もう1つの仕掛けは、そのラーメン作りにある。「店舗内の厨房では無理なので、ラーメン作りのための工場を借りています」(井上社長)。

井上琢磨社長(右)と料理長は日本人だが、その他は現地スタッフで構成

場所は、店舗から車で約30分のセンバワン。シンガポールでは街中にラーメン作りの工場兼事務所を借りることはできず、郊外の食品工業団地内のスペースを借りることが多い。工場で毎日別々の店舗のスープを仕込み、冷凍。麺も大和製作所の製麺機を導入して、自家製麺をつくっている。それを店舗へと運ぶ。

次ページ「日式ラーメン」として、世界へ
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