シンガポールで輝く日本発の異色ラーメン店 有力8店のメニューを1店で再現できるワケ

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店内でのスープ作りがないので、スタッフの負担も軽減できる

この冷凍システムも、通販から学んだ方式。こうすることで、店舗内での調理がほとんどなく、また、冷凍することでスープの鮮度も保たれ、衛生面もおいしさも保てる。ラーメン店との契約は、いわゆる店主によるプロデュースのようなスタイルだ。「Ramen Gallery TAKUMEN」に任せることにより、自らが出店するよりも安全、そして利益も確実に取得できるというラーメン店側のメリットも大きい。ラーメン店は企業というよりも、市中の個人経営的な店舗が中心ゆえ、言葉も慣習も違う海外で店舗を立ち上げるのは多くの困難が伴う。そこに着目したといえる。

まだまだ世界で活躍できる日本のラーメン

毎日、日替わりで店舗ごとのスープを作成していく

ラーメンはもともと明治時代の文明開化で中国人が函館や横浜などの貿易開港地へと移民し、中華麺を広めたのがきっかけで、日本古来の調味料であるしょうゆと融合することにより誕生した。ゆえに中華麺とは一線を画す「日式ラーメン」として、世界へと進出している。

「らぁめん元」など8種類のラーメンを1度に提供できる

先駆者は北海道札幌市の西山製麺。「西山ラーメン」というブランド名で1975年から麺の海外出荷を始めた。いわば、製麺所主導型の海外進出。現在は店舗主導型が盛んだ。たとえばマザーズ市場に株式を上場した「一風堂」などを運営する力の源ホールディングスは、2017年3月時点で海外に65店舗を構えている。企業数で見れば2010年には15社だったラーメン業界での海外進出企業が、2016年には97社と飛躍的に増加した。

「本田商店」のとんこつラーメン。においまで日本と同じクオリティだ

2020年の東京オリンピックへ向けて、日本を訪れる外国人の数はますます増えそうだ。2017年の訪日外国人数は昨年よりも1カ月早く、5月に1000万人を突破した(日本政府観光局調べ)。海外で日式ラーメン店が増加している背景には、彼らが日本でラーメンを食し、そして帰国してからSNSなどの口コミで評判を広めているのも理由の1つといわれる。シンガポールでのブームはその一例。日本のラーメンはまだまだ世界で活躍できる可能性を秘めている。

はんつ遠藤 フードジャーナリスト

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はんつえんどう / Hantsu Endo

1966年東京都葛飾区生まれ。東京在住。早稲田大学教育学部卒業。海外旅行雑誌のライターを経て、テレビや雑誌、書籍などでの飲食店紹介や、飲食店プロデュースなどを行うフードジャーナリストに。ライターとして執筆、カメラマンとして撮影の両方を1人でこなし、取材軒数は8000軒を超える。『週刊大衆』「JAL(Web)」などに連載中。また近年は料理研究家としてTVラジオ雑 誌などで創作レシピを紹介している。著書は『はんつ遠藤のうどんマップ東京・神奈川・埼玉・千葉』『おうちラーメン かんたんレシピ30』『おうち丼ぶり かんたんレシピ30』『全国ご当地やきとり紀行』(以上、幹書房)など。

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