――1990年代に映画化されたことはありましたね。
2本映画作品を作りましたが、それはテレビシリーズに近い形の作品だった。今回は満を持して、ものすごい製作費を投入して超大作をつくろうということになったのです。
――今回の映画版に関して、東映さんはどういう立ち位置なのでしょうか。
基本的にはおカネを出すのは向こうで。ただ、意見はいろいろと言っています。また、おもちゃが出るので、東映は売り上げに応じてきちっともらうスキームにしています。配給担当として、おカネをかけて宣伝をしています(笑)。
――原作者としてかかわっていると。
そうですね。サバンの考え方はわれわれと近いので、そんなに違ったことは言いません。いちばん観たかったのは、「青春ものとして、個々人が現代社会のさまざまな問題にぶつかり、スーパーパワーを持つことへの戸惑いと苦しみ、そしてついにヒーローへと進化していく」ということ。そこが原点で、じっくりと描いてほしかった。
最近、日本ではそうした話を盛り込んでいません。テレビはどうしても展開を急ぐ必要があるので、すぐ変身や合体をせざるをえないからです。
いちばん大事なのは、1人ずつ名乗ること
――日本版に比べて、ドラマパートはどのように変化したのですか。
日本以上にコミカルな要素が多くなっていますね。アメリカでの成功はそれがあると思います。最初からハイスクールを舞台にして、ドタバタにしているんですよ。必ずデコボココンビがいて、バカをやる。そういうのがアメリカ人は大好きなんですね。しかし、だんだんと日本のスタイルに近づいてきて、最近のストーリーはほとんど似てきています。アメリカの子どもたちも日本の文化に慣れてきて、スタイルを理解するようになってきたんでしょうね。
――『パワーレンジャー』で世界展開をされていますが、東映さんが考える世界戦略とは?
実写で難しいのは日本人の顔が出てしまうことですね。アメリカで日本人の顔が5人出たら、観てもらえないでしょう。アメリカにはいろんな人種がいるので、多種多様な5人がいなければ映画にならない。だから日本発のコンテンツの世界戦略は難しい。
――「パワーレンジャー」がなぜここまで受け入れられたのでしょうか。
なんといっても5人が力を合わせるという“絆”ですよ。これを向こうの人が受け入れてくれた。最初は「5人は嫌だ」とスタッフから拒絶されていた。さらに、変身ポーズもいらないと言ってきた。さすがに変身ポーズがなくてはダメだから、カットするなら返してくれと言いました。
ただ、サバンが好きだったからうまくできた。さらに「名乗りはやらないとダメだよ」とも言いました。ドラマにもメリハリが出る。いちばん大事なのは、1人ずつ名乗ることで、子どもたちだって覚えられるじゃないですか。自分でレッドだと名乗らないと誰も呼んでくれないですもんね。
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