エンジェル税制とは、創業まもない企業に資金供給する投資家への優遇制度。投資した金額を、寄付金と同様に総所得金額から控除する、又は、株式譲渡益から控除することで減税措置を受けることができます。
直近の1年間では33億円を超える金額がこの税制を使ってエンジェル投資されています。昨年度からは、手続きの窓口を、全国各ブロックの経済産業局から各都道府県に移管し、より身近な拠点で相談や申し込みができるようになっています。
7月6日のSENQ霞が関での会議は、全国47都道府県の担当者の連絡会。地域の創業を支援する自治体職員が一堂に会し、税制の基本的な考え方の確認、先進事例の紹介、民間の支援サービスのプレゼンなどで、地域における新しい資金の流れをつくる機運が高まりました。
エンジェル投資は地域の雇用をつくる鍵
事務説明後の最初の登壇者は、元日本IBM会長、元経済同友会代表幹事の北城恪太郎氏。かつて、エンジェル税制への所得控除導入を経済界の代表として働きかけ、実現に貢献した人です。自らもベンチャー数社にエンジェル投資し、現在は、経営者や会社役員に幅広くエンジェル投資を呼びかけています。
「地方で雇用を増やすには新しい企業を増加させることが重要です。多くの企業は、50年も経てば、成長が鈍り雇用を減らさざるをえなくなる。新しい企業こそが地元に職場を増やすのです。しかし、新しい企業はリスクが大きく、銀行などからおカネが借りづらい。先が読めない企業に融資をするのは無理。だからといって起業家が、家や財産を担保に入れなければならないというのでは、挑戦しようという人が出てこない。そこで、事業への熱い想いに共感する知人、友人等のエンジェル投資家からの資金供給が重要なのです。エンジェル税制は良い制度なのですが、地方ではほとんど知られていません。知事や市長は、エンジェル投資による創業促進やエンジェル税制の活用について明確にメッセージを出すべきです」(北城氏)
地方自治体の産業振興の成功パターンは、①トップが本気であること、②事務方に現場の知見があること、③民間の力を活用すること、と一般に言われていますが、エンジェル投資に関してその3原則を実践しているのが長野県です。エンジェル税制を活用した投資の件数、金額で東京都に次ぐ第2位の地位を継続。2012~2016年にかけて年平均16件のペースで投資が進み、地域の観光や暮らしに貢献する企業が次々と生まれています。
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