高島屋と近鉄百貨店の業績は、若干の改善にとどまった
まずは、高島屋の2014年2月期(平成26年2月期)第1四半期の決算内容から見ていきます。2月本決算企業なので、今年3月から5月までの業績であることに注意してください。
損益計算書(決算短信の7ページ参照)から収益性を調べますと、「売上高」は1937億円から1998億円まで約3.2%増加しています。微増ではありますが、これは、資産効果によって高額品の売り上げが伸びたことが大きな理由のひとつとなっています。
ただ、「売上原価(売り上げた商品やサービスを生み出すために直接必要な経費)」も1428億円から1479億円まで増えていますから、売上高から売上原価を差し引いた「売上総利益」はわずか10億円ほどの増加にとどまりました。
さらに「販売費及び一般管理費(営業にかかった費用や広告費、会社を運営するための本部の費用など)」が少し増えたことで、本業の利益を示す「営業利益」は58億円が60億円と、2億円の微増となりました。
以上のことから、高島屋は増収増益となっているものの、それほど大きく伸びていないということがわかります。ただ、これは3~5月の業績なので、百貨店全体が大きく伸びていた6月の業績は含まれていません。次回の決算に期待です。
もうひとつ、近鉄百貨店の14年2月期(同)第1四半期決算も見てみましょう。こちらも損益計算書(決算短信の6ページ参照)に注目しますと、「売上高」は655億円が654億円と微減しました。近鉄百貨店も高額品の売れ行きは好調だったようですが、春先の天候不順によって衣料品の売り上げが落ち込んだため、売上高は減少してしまったのです。
しかし、「売上原価」と「販売費及び一般管理費」を少し削減したことで、かろうじて「営業利益」は5億円から6億円の微増となりました。経費削減という企業努力によって、なんとか利益を増やしたということです。
近鉄百貨店は、阿倍野橋店がハルカスの建築のために改装中だったということもあって、「全国百貨店売上高」の伸びほど売上高が増えていないどころか、減少しています。
このように、マクロとミクロの動きは必ずしも一致するとは限らないのです。ですから、一部の企業の業績で全体の動きを判断するのではなく、同業他社の業績にも注目することが大切です。業界首位の三越伊勢丹HDの決算にも注意してみてください。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら