CIAの情報分析は誰でも応用できる手法だ あふれる情報におぼれないための5ステップ

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「HEADゲーム」の手法を使えば、情報の洪水におぼれることなく、効率的な意思決定に至ることが可能だ。国家安全保障にかかわる問題から、投資先の選定、新車選びにまで応用できるこの分析法は、次の「5つのステップ」からなっている。

1)何を問うべきか?
2)「重視する項目」を設定する
3)実績(パフォーマンス)を測定する「尺度」を決める
4)データを色分けする
5)見落としはないか?

「逆から考える」技術

この5ステップに入る前に大事なのが、「逆から考える」ということだ。

この記事のように横書きの文章を読むとき、私たちは目を左から右へと走らせる。だが、「HEADゲーム」は、この順序を逆にし、いわば右から左に読む技法だといえる。専門家はすぐデータに飛びつき、専門知識と経験と勘に頼って分析を進めがちだ。これは左から右への分析方法である。優れたアナリストは、まず意思決定者のニーズを考えてから、データの分析を行う。これがすべての情報分析のベースとなる「逆から考える」技術である。

たとえば、CIA時代(2003年)に、私が初めて大統領にブリーフィングを行ったときのこと。私は新たに得た情報を基に報告をそつなくこなしたが、話し終えた直後に、ブリーフィングの方向性を間違えていたことを悟った。ジョージ・W・ブッシュ大統領(当時)から「その情報を受けてわれわれは何をすべきか?」と聞かれたからだ。

会合の目的は、脅威情報を受けて大統領がどう対処するかを決めることだった。つまり、大統領が国民に警戒を呼びかけるべきか、予定されている公式行事を中止するか否かを決断できるよう、新情報の位置づけを明確に示すべきだったのだ。さいわい、大統領からの新たな問いを受けて私は軌道修正を図り、情報に「文脈」を添えた。これによって、その脅威情報の位置づけ(ほかの脅威情報と比べて、今回のケースはどれほど深刻か?)が明確となり、大統領はひとまず様子を見るという決断を下した。

分析の「目的」をつねに心の片隅に置いておくこと。意思決定者(国家元首、企業のCEOや上司、クライアント、あるいは自分自身)が何を知りたがっているかをまず理解し、それに基づいて分析の方向性を組み立て、「意思決定の利点」を提供するのが、アナリストの最も大切な役割である。

1)何を問うべきか?

そして、正しい問いを立てること。簡単そうで難しいこの段階が、「HEADゲーム」の第1ステップである。FBI時代の失敗から、私は教訓を得た。その頃、東アフリカのソマリアでアル・シャバーブというイスラム過激派が台頭し、この組織への資金提供が問題になっていた。私のチームは、米国内における秘密の送金ネットワークを監視していた。

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