「赤羽」が急速に女子人気を集めている事情 安い飲食店が多いだけではない

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これは、貸し手が借り手を信頼できるからこそ成り立つ取引である。そもそも人気エリアでは、1つの物件に何人も「空き待ち」をしており、情報が外に出ることはほぼない。不動産会社が信用できる相手に仲介する場合が多く、「一見さん」が、条件が良い場所を借りることはほぼできないのである。

不動産取引以外でも、この地域はもともと人のつながりを大事にする風潮が強く、店舗同士も仲が良い。飲食店は地元の八百屋さんで野菜を買うし、花屋さんは飲食店を利用する。もちろん、飲食店同士も飲みに行き合う関係である。地元でおいしい店と定評のある老舗居酒屋「居呂利」で働いた後、飲食店を経営するようになった人が多いため、それが人間関係を近しくもしている。

地元客が2軒目で飲んでいたら、1軒目に利用した店の店主と客が飲みに来て、飲み仲間になるということもしばしばあるようで、街全体に親密感が漂っている。それが居心地の良さという魅力につながっているのである。

ほかの繁華街にはないオープンさ

しかも、新たに来た人を排除することもない。赤羽に何年住んでいるのかではなく、つながりや義理を大事にするかどうかが「仲間」の判断基準となっており、その条件に見合えば新参者でも受け入れるというおおらかなところがある。前出の朴氏の赤羽歴は3年半ほどだが、その彼は赤羽を「温かい街」と言う。それは若い人を応援する雰囲気があるからであり、実際、周囲に助けられているからだという。

女性や若者から支持を得ている理由は、この街特有のフレンドリーな雰囲気だけではない。近年は、ワインバルが急速に増えており、これまで赤羽に訪れなかった層を引きつける牽引役となっているのだ。

きっかけとなったのは2011年に一番街に食肉問屋が共同出資してオープンした「グッドミート・バル」。今はやりの肉バルのはしりでもあり、お勧めは肉とワインだ。同店は2013年に、空いた2階で今度はビストロをオープンさせており、これまで赤羽になかった業態の好調ぶりを物語っている。

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