潰れる会社に必ずいる「静かな殺し屋」の正体 忖度できる便利な人材は危ない

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──ほかに衰退サイクルを回さない重要なくさびは?

経営陣が現場や現実を基にロジカルな議論を尊ぶという規範の存在。これはすごく大事です。幹部が持論と経験談一本やりだと若い人は口を挟めない。おまえは青い、経験が足りない、で終わりでしょ。顧客接点にいるのはだいたい若い人です。要は、最近売れ行きが悪いとか、お客から苦言が出たとか、営業の最前線でアラームが鳴ったとき、それがちゃんと経営の中枢に届く仕組みになってることが大事。ダメな会社ではいくら危機意識を訴えたって、事前の根回しのところで排除されちゃうか、角が全部取れて訳のわかんない文書になって会議に上がったりする。

悪気のない愛社精神で、衰退への道をひた走る

──衰退サイクルの自走……。

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自走は因果関係なんです。親玉たちが意思決定を予定調和的にやっていて、そうできるよう一生懸命ミドルが調整し、そのシステムに貢献したヤツが偉くなり──の循環。そんな連中だから社内政治力はあるけどリテラシーは低い。このサイクルが回っているかぎり直りようがないじゃないですか。しかも厄介なことに誰にも悪気がない。みんな愛社精神満載で、一生懸命仕事して衰退サイクルを回してるんですよ。だから一度回りだすとこれを止めることはそうとう難しい。

──自分の会社にサイレントキラーが潜んでいないかどうか、どの辺に注目したらいいですか?

まずはどんな人が偉くなっているか。忖度するのが上手、派閥・学閥・保守本流に属してる、気が利くだけ、なんてヤツばかり偉くなってる会社はヤバイでしょうね。いい会社で偉くなっている人は、能力と人格、やっぱり衆目一致する人物ですよ。何であの人偉いの?って人はいないんです。

それと雑談のテーマ。昼飯や夜の飲み会、たばこルームで、ダメな会社はほとんど人事の話をしてますね。社内の人間関係とか。いい会社は顧客や競合、市場、製品の話などをしています。さらに、幹部の話がちっとも論理的じゃなくて、持論と経験談、個人的感想に終始してるようだと、危ないですね。

中村 陽子 東洋経済 記者

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なかむら ようこ / Yoko Nakamura

『週刊東洋経済』編集部記者

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