日本では、なぜ略奪も暴動もおきないのか

「既読スルー」「空気を読む」に疲れる日本人

刑事司法の厳罰化が進んでいる。日本人は生きやすくなっているのだろうか(写真:ひでと / PIXTA)

1990年代末以降、刑事司法の厳罰化が進んでいる。80年代からは量刑はざっと見て倍になり、2000年の少年法改正を皮切りに法律改正のラッシュが続いた。10年には時効も廃止された。

犯罪が増加したわけでも、凶悪化したわけでもない。むしろ諸外国と比べても日本の犯罪率は低い。東日本大震災時に被災者が避難所で整然と行動していたことは海外メディアにも絶賛された。

「世間」にがんじがらめの日本人

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治安の良さとそれにも関わらず起きている厳罰化の流れ。いずれも「世間」に日本人が未だにがんじがらめになっているというのが刑法学者の『犯罪の世間学』の著者 佐藤 直樹氏の主張だ。

日本には社会が存在せず、伝統的に世間が存在したとの指摘は阿部謹也が提唱した世間論で広く知られる。著者は世間を「日本人が集団になった時に発生する力学」と定義しながら、「既読スルー」や「空気を読む」を例に世間論を紹介、特徴を解説する。

「世間」には「共通の時間意識」に基づく「人間平等主義」があるため、日本人は能力や才能の違いを認めず「みんな同じ」だと思っている。これと格上・格下などの「身分制」のルールが相乗して、独特の「ねたみそねみひがみやっかみ」意識が生まれる。
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