(第3回)再生医療への取り組み(その1)

渡辺すみ子

 今回は再生医療とその周辺の状況についていくつかのトピックスを提供します。また知財の立場で再生医療にかかわる、東京大学TLOの本田圭子さんが再生医療の現状について編集者によるインタビューを快くお引き受けくださいましたので、そのお話を次回以降にご紹介します。

●再生医学に取り組む基礎研究室

 私は医学部の出身ではない基礎研究者であるが、再生医療に取り組みたいと真剣に考え、私の研究室を訪問してくる学生の多くも医者ではない。基礎研究では直接患者と接することはなく実験室を主たる研究の場とするが、最終的な目標は医学に貢献することにベクトルを向けている。またこれが私の所属する医科学研究所に所属する研究者の使命でもあると考えている。

 私の研究室は東京大学医学系研究科に所属し、臨床経験のあるもの、ないが医学部出身のもの、歯科医師、そして工学部、理学部などの出身の学生達がそれぞれの学問背景を生かして研究チームを形成している。また、他の多くの大学院医学系研究科の基礎の研究室と同様に、構成員に学部からの東大出身者は少数派である。これは医学系研究科と直結する学部が医学部であり、多くの卒業生は臨床への道を選択することによる。

 研究員はそれぞれの背景が異なり、その興味も基礎的なメカニズムから臨床応用まで様々であるが、ひとつの研究室で多岐にわたった系をもちいて研究するのは効率が悪くなる場合もあるので、私の研究室では生物材料を扱った研究に集中している。それでも研究には、動物の扱い、DNAの作業、細かい移植や手術など、多様な技術や知識を要し、それぞれの持ち味を協調して大きな仕事につなげるチームワークが重要だ。

 必要とされる技術が多岐にわたり熟練を要するので、安定して確実な技術をもつテクニシャンの存在はますます重要になってきた。さらには基礎研究を細胞治療などで臨床応用して行く場合、安全で再現性の良い技術がますます必要となるが、これを治療にあたる医師に求めるのは難しい。よい腕をもったテクニシャンを継続的に確保する必要性が高まる一方、人手に頼る部分を減らすためにレディーメードの試薬のみならず自動細胞培養装置のようなものも出現しはじめた。

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