(第3回)再生医療への取り組み(その1)

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●再生医学に取り組む基礎研究室

 再生医療の範疇は、私達が取り組んでいる視覚のように生命体として維持するために必須ではないが機能的に極めて重要なものと、肝臓・腎臓などの生きていくために必須の臓器、がある。
 2年ほど前、九州の病院で米国バイオ企業と共同で自身の脂肪細胞を使った乳房再建手術の臨床試験を開始したことが報道され注目を集めたが、乳房は臓器として生存に必須ではないものの、乳がん手術のあとの生活の質の改善に重要な役割を果たすと考えられる。しかしその必要性には個人差があり、費用や負担により判断がかわるだろう。
 また、毛髪や歯のように現在は人工的(工学的)材料、すなわちかつらや入れ歯である程度の役割を果たしている臓器についても、より機能的にあるいは視覚的にすぐれたものを求めて再生医療の対象として活発な研究が展開している。また、皮膚の皴取りなども皴の部分に新しい皮膚を再生するという意味で再生医学の重要な標的の一つとなった。

 これらのいわゆるQOL (quality of life) を向上させるための再生は必要性やできあがりの質の要求に個人差はあろうが、マーケットとしては極めて大きく、またビジネス性が高いと考えられる。事実これらの領域は現在、アンチエイジングとして高齢化社会の次なるビジネスモデルとして注目を集めている。リゾート、ゴルフ、カードなどの高額所得者を対象とした業種による健康維持のための検査施設、そして再生によるQOL向上のクリニック等の設立に向けて多数の動きがある。

渡辺すみ子(わたなべ・すみこ)
慶応義塾大学出身。
東京大学医学系研究科で修士、続いて東大医科学研究所新井賢一教授の下で学位取得(1995年)後、新井研究室、米国Palo AltoのDNAX研究所を拠点に血液細胞の増殖分化のシグナル伝達研究に従事。
2000年より神戸再生発生センターとの共同研究プロジェクトを医科学研究所内に立ち上げ網膜発生再生研究をスタート。2001年より新井賢一研究室助教授、2005年より現在の再生基礎医科学寄付研究部門を開始、教授。
本寄付研究部門は医療・研究関連機器メーカーであるトミー、オリエンタル技研に加え、ソフトバンクインベストメント(現SBIホールディングス)が出資。
東大医科研新井賢一前所長(東大名誉教授)、各国研究者と共にアジア・オセアニア地区の分子生物学ネットワークの活動をEMBO(欧州分子生物学機構)の支援をうけて推進。特にアジア地域でのシンポジウムの開催を担当。本年度はカトマンズ(ネパール)で開催の予定。
渡辺すみ子研究室のサイトはこちら
渡辺 すみ子

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