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発電大手JERAが目指す「カスタムメイドな電力」の販売。東宝などとのコラボで、24時間365日すべての電力の脱炭素化狙う

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JERA袖ケ浦火力発電所構内に設置された水素発電機(TM & (C)TOHO CO.,LTD.)
東京電力と中部電力が設立した日本最大の火力発電企業JERA(ジェラ)。同社は、再生可能エネルギーの導入によって脱炭素化を進める企業を支援する新たなビジネスを開始した。100%出資子会社のJERA Cross(ジェラクロス)を設立し、2024年6月に事業をスタートさせた。JERA Crossは脱炭素化を目指す企業へのコンサルティングサービスの提供とともに、顧客企業が必要とする電力の100%を脱炭素電力で賄う新たな取り組みを始めた。
JERAはこれまで、大株主である東京電力や中部電力グループの小売販売会社への電力の卸売りを主体にしてきた。しかし、電力をめぐる競争政策の進展に加え、脱炭素化の流れが強まる中、子会社のJERA Crossが2024年4月に小売電気事業の登録をし、再エネを主体としたクリーンな電力の小売販売に進出した。その狙いは何か──。JERA Crossの幹部およびユーザー企業への取材を通じて探った。

 

トップ同士が意気投合し、脱炭素化でコラボ

東京都世田谷区成城の高級住宅地の一角にあるのが、大手映画会社東宝が運営する東宝スタジオだ。「ゴジラ」シリーズや黒澤明監督の名作「七人の侍」などの制作で知られる同スタジオに、JERA Crossは2024年11月、再エネを主体とする電力の供給を開始した。東宝スタジオは、東電グループの小売販売子会社である東京電力エナジーパートナーとの契約を、新規参入のJERA Crossに切り替えた。

そのきっかけは今から4年ほど前にさかのぼる、東宝の松岡宏泰社長と親会社JERAの可児行夫会長グローバルCEO(最高経営責任者)による話し合いだった。

「映画制作で一緒に脱炭素化を目指しましょう」

トップの意気投合をきっかけに両社は「映画制作のゼロエミッション(脱炭素)化に向けた覚書」を2021年12月に締結。東宝は、脱炭素化へのロードマップ策定や脱炭素エネルギーの確保を、JERAの協力を得て進めることを決めた。その後、両社は東宝の社員が参加するワークショップを共催して社員のモチベーションを高め、使用電力の脱炭素化の対象として東宝スタジオに白羽の矢が立った。

東宝スタジオを運営する島田充・TOHOスタジオ社長によれば、「自社物件であり、プロジェクトとして取りかかりやすいことが決め手になった」という。

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