大人気「AIスピーカー」に過度な期待は禁物だ 現在の実力は音楽を楽しみやすくすること?

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Echo Look(写真奥)にはカメラとフラッシュがついており、写真や動画を撮影可能。2つのコーディネート写真から「どちらが似合っているか」などを判断するサービスも提供されている(写真:アマゾン)

アマゾンはその後、エコーのバリエーションを広げ、対応デバイスを増やそうとしている。実際、今年4月にはカメラを搭載し、Alexaがファッションチェックをしてくれる「Echo Look」を、6月にはディスプレーを搭載した「Echo Show」を発売している。

スマートスピーカーには言語や文化の壁があり、米国、ひいては英語圏の国々以外に広まらないという課題を抱えていたが、昨年から今年にかけて多言語対応も進みつつある。

実際日本でも、グーグルがAIアシスタント「Googleアシスタント」の日本語版を提供し、今年後半にGoogle Homeを日本で販売することを明らかにした。またLINEも、韓国のNAVERと共同で独自のAI「Clova」を開発し、それを搭載したスマートスピーカー「WAVE」を秋に日本で発売すると発表している。

日本でも受け入れられるのか?

とはいえ、スマートスピーカーが日本など米国以外の国でも同じように受け入れられるかというと、必ずしもそうとは限らない。

Echo Showは7インチのタッチ画面を備えた端末。音声だけでなく、さまざまな情報を見せることができるのが新しいポイントだ(写真:アマゾン)

そもそもなぜスピーカーなのかといえば、部屋で音楽を聴くためであり、米国でヒットしたのもAIありきではなく、あくまで部屋で音楽が楽しめることをキーとしながら、機能の幅を広げていったからだ。しかも現在のAIは、精度が高まっているとはいえ、基本的にはユーザーの命令に応えるだけだ。音楽を聴く習慣のない人がAI目当てで購入すると期待外れに終わるだろう。

現時点では、あくまで音楽を楽しむためのデバイスであり、AIに過度な期待をしないことが、ユーザーが楽しむためのポイントだ。もちろん、商品を提供するIT企業としては、画期的な新機能やサービスを投入し続けること。さらに、ユーザーが商品をフル活用できるように工夫を凝らしていくことが、本格的な普及の条件になるだろう。

佐野 正弘 モバイルジャーナリスト

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さの まさひろ / Masahiro Sano

福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける

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