「無選挙の3年」は野党の唯一のチャンス 魅力的なリーダーを作れるか、が勝負

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参院選からまもなく1ヵ月になるが、野党の凋落と混迷はひどい。

民主党は党内の混乱が収まらずに分裂含み、みんなの党も幹事長更迭で党内冷戦が本格戦争に発展した。維新の会も看板の橋下共同代表のパワーダウンが著しい。安倍首相は8月8日、維新のブレーンの堺屋太一氏を内閣官房参与に起用し、野党分断、維新取り込みに余念がない。「自民1強」に対して、野党側は対抗勢力の結集が重要課題なのに、分散どころか、飛散状態だ。

安倍首相は、自ら衆議院を解散しなければ、次の参院選まで「与党過半数・衆参の選挙なし」という「黄金の3年間」を手にする。3年超の長期政権が可能になる。だが、見方を変えれば、「無選挙の3年」は野党にとっても再出発の最大・唯一のチャンスだ。

現行選挙制度の下で、衆参の選挙はここ数年、「大勝・惨敗型」が常態となっている。有権者が政権選択、政権への信任・不信任を明確にできる制度だから、一発でオセロ状態になる可能性がある。いまは「自民1強」だが、3年先はどっちに転ぶかわからない。野党は「無選挙の3年」を党再建と対抗勢力結集の好機と明確に認識すべきである。

有権者は選挙で何を重視して投票先を決めるのか。政党と候補者の考え方や政治姿勢、政策と路線、与党の場合は政権担当に対する採点、あるいは党や人物の好き嫌いも影響する。

だが、多くの人は過去よりも未来に目を向ける。最大の投票基準は「期待感」だ。

「自民1強」への対抗勢力の結集も、国民の期待感を担えるかどうかが決め手となる。野党は政府・与党の失速と転倒を待つだけでは期待感を背負うことはできない。追及力、突破力、政策の構想力や実現力、統治能力なども求められるが、決め手は「人材」だ。

放っておけば遠心力ばかり目立つ野党勢で、新勢力の結集には、求心力と大きくまとめる包容力を備えた魅力的な指導者が不可欠だが、発掘し、擁立できるのかどうか。極言すれば、期待感の集約はその一点にかかっている。それには3年は長すぎる時間ではない。

(撮影:引地信彦)

塩田 潮 ノンフィクション作家、ジャーナリスト

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しおた うしお / Ushio Shiota

1946年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
第1作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師―代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤』『岸信介』『金融崩壊―昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『安倍晋三の力量』『危機の政権』『新版 民主党の研究』『憲法政戦』『権力の握り方』『復活!自民党の謎』『東京は燃えたか―東京オリンピックと黄金の1960年代』『内閣総理大臣の日本経済』など多数。

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