企業に「サウナ部」が続々と誕生する理由 もはや中高年男性だけの娯楽場ではない!
「元々サウナが好きな人はいたでしょうが、ブームによって市民権を得て、より本格的にサウナを楽しむようになってきています。2年ほど前からサウナハット(のぼせ防止のためにかぶるサウナ用の帽子)を着用した人をたまに見かけるようにも。施設側も水風呂の設定温度を工夫するなど、サウナーに理解を示すようになってきています」
真の主役は「水風呂」
企業内の「サウナ部」も続々と誕生している。活動自体は社内のサウナ好きでサウナに行くという、いたってシンプルなもの。ただ、侮ってはいけない。仕事にもプラスの影響が出ているという。
監査法人最大手、新日本監査法人のサウナ&スパ部代表・高須邦臣さん(41)は自ら「CSO(Chief Sauna Officer)」と名乗り、サウナ部の真骨頂をこう説いた。
「サウナに入るときは服だけでなく、肩書や世間体など背負っているものも全部脱ぎます。職場ではなかなか話せないような話も腹を割って話すことができるし、リラックスした状態での語らいは、飲みニケーションを超える効果があると感じます」
同社サウナ&スパ部は2016年8月に10人で結成し、今では20人が所属する。そのうち、8人が女性だ。
5月31日、同社のサウナ&スパ部の活動に本誌女性記者(33)も同行した。向かったのは横浜にある「スカイスパYOKOHAMA」。眼下に横浜の夜景を見ながら楽しめるのが売りのようだ。女性部員の日向野(ひがの)奈津子さんの案内で、いざサウナへ!
14階からの眺めに癒やされながら、ジトッと汗が噴き出してくる。ただ、室温75度のなかに長時間いるのはつ、つらい……。
10分ほど経過すると、日向野さんはサウナを出て汗を流し、水風呂に一気に肩まで浸かった。この日の水温は17度。思わず躊躇した記者だが、サウナの魅力は水風呂。むしろ、「水風呂に入るために、サウナに入る」(高須CSO)という。
それは、今回取材したすべてのサウナ部の部員たちが口を揃えたところだ。日向野さんは、
「私も最初は水風呂が苦手でしたが、慣れるとハマります。今は週に2回ほどサウナへ通っています。むくみが取れて、冷え症も改善しました」
サウナー界では水温は低ければ低いほど評価されるようで、9度以下の水風呂を「シングル」(サウナー用語その5)と呼ぶことも教えられた。
サウナで「ととのった」(サウナー用語7参照)後は、施設内のレストランで乾杯。渇いたのどに流れ込むビールは格別だ。部員の小澤ひろこさんに仕事への影響を聞くと、
「私の部署では、製品などのモノではなく、専門性を売っている。最終的に重要になるのが、人間関係。知識や経験のある人と社内でつながるのは限界がある。その点、サウナ&スパ部での交流は、面識のなかった人にも仕事の相談がしやすいです」