最愛の夫失ったFB幹部を救った「別の生き方」 サンドバーグ氏を導いたオプションBとは

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そして10日後に仕事に復帰すると、職場は彼女がより「自分らしくいられる場所」であると気がついた。同僚たちの優しさは、その時点の彼女の生活におけるすばらしいところを思い出させてくれた。そこで彼女は、悲しみが必ずしも、自分の生活すべてに影響を及ぼすものではないと理解するのである。

しかしなかなか取り除くことができなかったのは、悲劇の「余波」が永遠に続くという思い込みだった。

日々に「喜び」を見いだす方法

「何カ月もの間、何をしていても、身をすり減らす苦悩がいつもそこにあると感じていました」と彼女は書いている。「これまでに悲劇を通り抜けてきた人たちのほとんどが、時とともに悲しみは癒えると私に言いました。私はそれを信じていませんでした」。

サンドバーグ氏はこのかたくなな思い込みを、レジリエンスを鍛え上げることで乗り越えた。彼女は、レジリエンスの「筋肉」は、2つのものに置き換えられたと指摘する。それは、感謝と喜びだ。そして、それが彼女の悲しみを癒やしていく。

ここでは、喜びを認識するために、グラント氏の指導により、毎日3つの喜びの瞬間を書き留めるエクササイズに取り組んだ。当初サンドバーグ氏は、小さなことを書いた。「コーヒーを飲んだ。おいしかった」。しかしその後、彼女はベッドに入るまでの、その日に起きた、より意味のあることを書くようになっていく。

このことについて、サンドバーグ氏はビジネスインサイダーにこう語っている。

「デイブが亡くなる前は、私は毎晩(その日)何がいけなかったか、そして翌日はどんな失敗をするかを心配しながらベッドへ向かっていたと気づきました。私は十分に生活し切っていなかったのだと思います。その日に感謝し、喜びを探し出そうとはしていませんでした。今では、私はそうしようとしています。毎日とは言えませんが、日々、感謝して喜びを探し出そうとしています」

フェイスブックという大手企業のCOOにまで上り詰めたサンドバーグ氏を尊敬する女性は米国には数多くいる。が、この本のサンドバーグ氏は良い意味でもっと「人間的」で、正直だ。男女問わず、読者に対して同じ目線の高さから語りかけている。

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