リアルな疑似体験で海外駐在員を鍛える グローバル人事の「目」(第11回)
視察を終了した後に、現地の日本人駐在員や主要な現地人従業員と交流する場を設けたが、「今回策定したプランを実現するには何が足りないのか」「どんなことをすれば、現地のお客様の心をつかむことができるのか」といった建設的なディスカションを行うことができた。
嬉しい誤算として、後日、ある商品を視察地で売るためのプロジェクトが発足し、現地と日本本社のメンバーが一丸となって取り組んだ結果、当該商品の売上が前年比234%まで急上昇したといったこともあった。研修プログラムの視点を「単なる視察」から「現地での戦略構築」に切り替えた結果、大きな成果を得ることができたのである。
社員を現地に放り込んで鍛える
海外へ赴き、ミッションを達成するまで行うという「ミッションコンプリート」というプログラムが注目されているので紹介する。
ミッションコンプリートプログラムは海外勤務経験がない日本企業の社員を対象とする。ベトナム等のアジア新興国に参加者を派遣し、2人1組のチームで5日間かけて大きなミッションを遂行する。ミッションでは「最終日までに現地語で会社のCMを作成する」など、海外経験のない参加者には難しそうな課題を与える。
参加者はチーム単位でプランを考え、自分達で現地の人々の輪の中に入り、協力者を見つけ、最終的に目標を達成することを経験するのである。最終ミッションを達成させるために、プログラムはポイントごとに細かく分けられていて、最初は小さいミッションから成功体験を積ませていく。
参加者は英語も自信がなく、現地語はさっぱり。最初は話したい内容をWebで現地語に翻訳してプリントアウトとしてから現地に出るが、身振り手振りを取り混ぜて話をしているうちに、実際に現地の人々と打ち解け、現地の友達やネットワークができていくとのことだ。
ミッションコンプリートを運営するJIN-G代表取締役社長の三城雄児氏は「日本人は海外に出ていく時、経験のなさや語学力の低さなどを言い訳にして引っ込んでしまいがち。しかし、このプログラムでは、徒手空拳で現地に飛び込み、何とかしなくてはならない。海外勤務で必要な経験をすることができるのです」という。
(撮影:杉本りう子)
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