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「政府は堅く地方はゆるく」地方創生の本質 石破茂「試行錯誤は現場にしかできない」

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  • 若新 雄純 政策プロデューサー/慶應義塾大学特任准教授
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(※ここで取材に同席した担当編集者から質問が入りました)

地方創生の主体は「そこに住む人々」だ

――石破さんが対談の中で言及したように、地方の活性化には若者を呼び集めることが不可欠です。Iターンのように、これから東京出身者が地方に移住することもありうるのでしょうか?

石破:それはあまり期待できません。出生率の高い地方に若者が戻ってくるような仕組みを優先して考えるべきです。

――さすがに東京生まれの人に地方移住を促すのは難しいですか?

石破:やり方次第です。「地方に行ったらきっと楽しいことがある」とうまくイメージさせることが鍵となるでしょう。でも、まず何よりもそこに生まれて、そこで育った人たちが帰ってくる仕組みを考えるほうが優先順位は高い。

あなたの親世代も「東京に行ったら、もう地方には戻ってくるな」という考え方でしょう?

――はい。

石破:今から親世代の考え方を変えるのは難しい。それよりもその子ども世代に「地方は楽しい」というイメージを根付かせると、親世代が引きずられる。地方創生は子どもたち、若者たちから始まるんです。

たとえば、地方創生モデルのひとつに「やねだん」があります。やねだんは鹿児島県鹿屋市にある人口300人程度の柳谷集落の通称です。特に風光明媚でもなく、代表的な産業や温泉があるわけでもありません。でも現在では、全国から年間5000人以上が視察に訪れる地域になっています。

なぜ限界集落ギリギリのやねだんに人が訪れるようになったか。それはやねだんにUターンしてきた豊重哲郎さんの尽力が大きい。

1996年に豊重さんは、東京の銀行で働いていた経歴を買われて、集落の公民館長を任されました。彼は、「行政に頼らない『むら』おこし」を目標に掲げます。

最初はサツマイモぐらいしか作るものがありませんでした。彼は鹿児島大学農学部の先生からおいしいサツマイモのつくり方を聞いて、地元の中学生や高校生と一緒に作り始めたんです。そうしたら、今度はそれを見た子どもたちの両親やおじいちゃん、おばあちゃんもサツマイモ作りに参加するようになった。上質なサツマイモ作りに成功したので、今度は焼酎を造ってみたら、これが抜群の出来で。

――イモ自体の品質がいいから。

石破:そうそう。で、今ではその焼酎を目玉にした「やねだん」という居酒屋がソウルに数店出すまでに商品が成長しました。だから、親世代の考え方を変えるのは子どもたち次第なんじゃないかな。

――そういった活動を広げるために政府ができることはなんですか?

石破:政府ができることは、今までどおり「堅い部分」を支えることです。要件さえ満たせば、厚生労働省補助金や農林水産省補助金、経済産業省補助金、地方創生交付金などの補助はします。

あるいは、中央省庁から「地方創生」に対して熱意を持った役人を派遣したり、その地域の課題が抽出できる「地域経済分析システム(RESAS)」を提供したり。カネや人、情報のサポートはします。

でも、あくまで「地方創生」の主体はそこに住む自分たちだということを忘れずに試行錯誤してほしい。

(構成:紐野 義貴)

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