民進党大会で透けてみえた蓮舫代表の「命脈」 都議選惨敗なら衆院選前の引責辞任も

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党大会で安倍政権との対決姿勢を強調するも盛り上がらず(写真:Natsuki Sakai)

蓮舫・民進党代表が窮地に追い込まれている。就任から半年後の3月12日の定期党大会で「政治人生すべてを懸けて政権交代実現を」とまなじりを決して安倍晋三首相による1強政権打倒への決意を表明したが、拍手はまばらで、会場は冷え冷えとした空気に包まれた。

昨年9月の蓮舫新体制発足以来、自身の二重国籍疑惑などもあって党内で期待された"蓮舫人気"は燃え上がらず、民進党の政党支持率は一ケタ台に低迷したままだ。同党の宿痾(しゅくあ)ともいえる「党内バラバラ」状態はまったく解消されず、打倒自民のカギとなる共産党を含めた選挙共闘体制でも党内の賛否は真っ二つで、「結論を出すに出せない」(有力幹部)のが実態だ。

そうした中、当面最大の課題は夏の東京都議選だが、小池百合子東京都知事が立ち上げた「都民ファーストの会」(小池新党)のあおりで議席激減が避けられそうもない。このため党内では都議選後に"蓮舫降ろし"の動きが顕在化するとの見方も広がる。党大会後の記者会見で参院議員からの衆院転出を明言した蓮舫氏だが、次期衆院選の前に代表としての命脈が尽きる可能性も否定できない。

蓮舫氏にとって代表就任後初の晴れ舞台となった党大会だが、「もう一度政権交代」の掛け声とは裏腹に、出席議員や支持者の表情は暗かった。「疑惑のデパート」ともみえる「森友学園」問題などで「安倍1強政権」への国民の不信、不満が拡大する中での党大会だけに、「本来なら早期の解散・総選挙を求めて国民にアピールする絶好のチャンス」(閣僚経験者)だったが、新聞各紙には「蓮舫氏、崖っぷち党大会」(朝日新聞)、「蓮舫流 党内冷ややか」(読売新聞)など厳しい見出しが並んだ。

連合反発で「2030年原発ゼロ」消える

次期衆院選に向けて党大会で蓮舫氏が打ち出そうとしたのが「脱原発」だった。昨年10月の新潟県知事選で原発再稼働反対を唱えた新人候補が「大逆転」で与党の支援候補を破ったこともあり、民主党政権時に打ち出した「2030年代原発ゼロ」を「2030年原発ゼロ」に前倒しして自民党との明確な対立軸にしようという発想からだ。

しかし、最大の支持団体の連合(全国労働組合総連合会)が「『2030年代』と『2030年』はまったく違う。『2030年代』ですら相当ハードルが高い」(神津里季生会長)と猛反発し、党内からも反対論が噴出するというお定まりの"お家騒動"が勃発。党大会で来賓としてあいさつした神津連合会長の「責任ある対応を引き継ぐことが国民の期待につながる」との指摘を受けて、蓮舫代表は「次期衆院選までに原発ゼロ基本法案を策定する」ことでお茶を濁さざるをえなかった。

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