「政府は堅く地方はゆるく」地方創生の本質

石破茂「試行錯誤は現場にしかできない」

若新:確かに、JK課も市役所職員を巻き込めたからこそ成功したものだと思います。女子高生たちが自由気ままに意見を出し合って、それを現場の職員さんたちがうまく形にするために実務的な力を貸してくれた。公務員の皆さん、実務能力はすごく高いんです。

この「堅さ」と「ゆるさ」のコラボレーションができる社会だと、いろんなことがうまくいくと思うんですよね。石破さんにお願いすることじゃないかもしれませんが。

若新雄純(わかしん ゆうじゅん)/「鯖江市役所JK課」のプロデューサー(撮影:梅谷秀司)

石破:政府が堅いのは仕方ありません。大事なのは、市長や町長など地方自治体の首長がJK課のような取り組みを「おもしろい」と言えるかどうか。

若新:政府が堅いのは変えられないと。確かに、国防など国民全体の生命にかかわることを担ってますからね。

石破:ええ。国がゆるいと大変なことになるので。

若新:政府が堅い部分を支えるからこそ、市町村は試行錯誤ができると?

石破:はい。だって、霞が関にいる人間に地方を活性化させるためのアイデアなんて思いつきませんから。試行錯誤は現場にいる人たちにしかできません。

若新:なるほど。確かに政府主導で「試行錯誤しましょう」と言っても、予算分配も難しくなるし、責任の所在も見えづらい。

政府の支える堅い土台の上で、首長さんは市民と一緒に楽しく地方を盛り上げる方法を模索する、という構図は魅力的でわくわくします。

石破:ええ。JK課をつくった鯖江市を含め、そうやって地方活性化に成功した市町村は多くありますから。

「都会で成功する」を考え直す

石破:先ほども少し言及しましたが、「教育」についても変えるべきところはあります。とにかく今は東京に人が集まりすぎ、かつ地元に戻らなすぎです。それが日本の衰退にもつながっているわけで。

地方から上京してきた若者には東京に行ったきり帰らないんじゃなくて、「生まれ故郷をすてきにしたい」と思えるようになってほしい。そのために自治体のアピールと雇用の創出は必須です。

若新:僕は、もっと地方のまちと東京など大都市圏との役割分担がうまくいけばいいと思っています。大都市にもメリットがあり、レベルの高い人材を一箇所に集めることができるので、「自分を鍛える場所」としては最適です。

でもその後、みんなが東京などで自分の力を十分に発揮できるかどうかは疑わしい。日々の生活に忙殺されて、人生を模索したり楽しんだりする時間や余裕もない気がします。

実際、若者からこんな話を聞きました。「東京で働けば高いサラリーをもらえる。けど日々の仕事や役割をこなすだけで、身に付けた能力を発揮できているという実感が薄い」と。

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