「政府は堅く地方はゆるく」地方創生の本質

石破茂「試行錯誤は現場にしかできない」

石破:ほう。

若新:一方、地方に帰ると、外で能力を鍛えてきた若者はすごく歓迎されます。そして、ゆっくりやらせてくれる。東京は学びや修業の場であり、地方はそれを実践して人生を有意義にする場となる。この役割分担がうまくいけば、地方にも若者が集まり、雇用も自分たちで新しくつくっていくと思います。

石破:そうなればいいですね。われわれの世代だと、県人会で「ふるさと」という曲を必ず歌うんですよ。「志を果たしていつの日にか帰らん」というフレーズがありますが、そうじゃないと。志は地方に帰って果たせばいいんです。

なぜか日本のサクセスストーリーには、「都会で成功する」ものが多い。たとえば、おとぎ話の『一寸法師』が典型です。ちなみにフランスやイギリスでは、この手の話はないそうです。

若新:おもしろいですね。都会での成功を目指すのは、日本独自の考え方だと。

人口が増えて、経済も成長していた時代は都会がなんでも与えてくれた。でも、経済が成熟期になり社会環境が大きく変わった今は、「成功の場所」を考え直すべきですね。

「モノからコトへ」の本質

若新:なぜ今まで都会が魅力的に見えていたか。その1つには、日々の生活の喜びが消費活動にあったからだと思います。

でも、中学生くらいからスマホやパソコンが当たり前のように与えられる今の若者にとっては、消費への喜びが相対的に下がっているようです。

石破:そうかもしれませんね。

若新:いろいろな若者と接して感じたことですが、みんな「モノ」よりも「体験」を求めています。

JK課では、毎年ハロウィンの季節にコスプレをしながらゴミ拾いをするイベントを実施しています。以前、女子高生のひとりが「市指定のゴミ袋がダサい」と言いました。それを聞いた市長が、キャラクター入りのかわいいゴミ袋をつくってくれたんですね。後からメンバーに話を聞くと、その市長の対応にえらく感動したみたいです。

これは、地方の小さなまちだからできたことかもしれません。でも、「まちをつくる側」に参加しているという体験には、都会での消費を超える魅力があると思います。

石破:なるほど。

若新:国や都道府県は国民の生活や安全を守るために堅くていい。でもこれからの基礎自治体(市町村)には、市民と一緒になって「楽しむ」体験が求められるのではないかと。

石破:そうなるとおもしろい。最近「モノからコトへ」とよく言われますが、今の若新さんの話を聞いて、納得しました。こういうことなんだと。

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