児童虐待の背景に「育児資源の不足」がある

家族の機能をもっと社会で担う必要がある

紫原:なるほど。現実には、虐待に至らない家庭でも、核家族や共働きの家庭が増えていますよね。養育に十分な資源を持った家庭というのは、実際そう多くないのではないでしょうか。

小澤:はい。それに、子どものほうも、養育者以外のたくさんの人に関心を向けてもらいながら、いろんな価値観に出合っていけたり、いろんな頼り先を確保したり、ということが難しくなっていますよね。

家族だけで子育てをしない

現状の子育てのハードルの高さは決して無視できない問題です(撮影:梅谷秀司)

紫原:現状の子育てのハードルの高さは決して無視できない問題だと思います。この状況、どうしたら変えていけるのでしょうか。

小澤:まずは家族だけで子育てをしなければいけないとか、家族がこうでなければいけない、といったこれまでつくられてきた社会にある意識を変えていくべきだと思います。いろんな家族の形があっていいし、家族だけでなく、たくさんの人がかかわって子どもを育てていくんだという意識に変わっていくこと。人のネットワークや、テクノロジーの発達がサポートできる部分もあると思います。また、生活の一部を外部化することがより許容されていくといいと思います。

紫原:生活の一部を外部化する、というのは、実際にどういうことでしょうか。たとえば、掃除や洗濯をおカネを払ってお手伝いさんにお願いする、ということならわかります。ただ、それもおカネという資源がなければできないことですよね?

小澤:そうなんです。今の日本の社会では、塾や習い事など学校外の教育機会も一見充実しています。ただ、ほとんどが、進学という目的のためであって、オルタナティブではないということと、教育機会の情報を得たり、そのためのおカネを捻出したりするのは家族に依存するため、どの子も平等に受けられるわけではないという課題があります。つまり、機会は一見外部化しているけれど、機会の多様さは担保されていない。

紫原:家族が機会を使えるかどうかに依存しているんですね。

小澤:はい。この問題を改善していくためには、私のもともとの専門である医療では限界があると感じて、それでNPO法人PIECESを立ち上げたんです。

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