児童虐待の背景に「育児資源の不足」がある 家族の機能をもっと社会で担う必要がある

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紫原:ただ、親戚縁者がかかわるのと違って、そこには利害関係はないですよね。コミュニティユースワーカーの人たちは、どういうモチベーションで活動に参加されるんですか?

小澤:利害関係がないからこそ、支援する・される、ではなく、一緒に楽しむ、同じ体験を共有する、といった関係をつくりやすいのかもしれません。コミュニティユースワーカーは、一人ひとり動機が違います。自分がひとり親家庭に育つ中で感じた葛藤の中で、もっと家族状況に依存しない環境をつくりたいという方もいれば、臨床心理士を目指しているという学生さんもいたり。スキルも特徴も一人ひとり違っていて、チームで補い合っています。

共通しているのは、目の前の子どものプロでいようとすること。そして、子どもの成長って面白いからこそ、その成長過程にかかわることの大切さや面白さを感じていることではないでしょうか。

いろいろな人の手を借りていける環境づくりが必要

紫原:親以外に、自分の子どもについてそう受け止めてくれる存在があるって、とても心強いことですね。

小澤:人間の長い歴史の中で、子育てというのはつねに共同体の中で行われてきました。今みたいに、親だけが子育てのすべてを担う無理な形は、近代化社会の中で起こってきた最近のことです。

一方で、子どもとの愛着形成には、特定の大人との強いかかわりを必要とする。それなら、お父さんやお母さんはそれ以外のところで、もっといろいろな人の手を借りていけばいいし、私たちは、そうできるような社会を、家族の外側からつくっていかなくてはいけないと思うんです。

紫原:そういう社会になってほしいし、していきたいですね。今日はありがとうございました。

紫原 明子 エッセイスト

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しはら あきこ / Akiko Shihara

1982年、福岡県生まれ。男女2人の子を持つシングルマザー。 個人ブログ「手の中で膨らむ」が話題となり執筆活動を本格化。BLOGOS、クロワッサン オンライン、AMなどにて寄稿、連載。その他「ウーマンエキサイト」にて「WEラブ赤ちゃん」プロジェクト発案など多彩な活動を行っている。著書に『家族無計画』(朝日出版社)、『りこんのこども』(マガジンハウス)がある。

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