歴史は「25年ごと」に考えると見方が変わる 戦後、日本は3つの時代を生きてきた

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──150年、500年といったより超長期の「歴史の尺度」も用いるべきとも。

大予言 「歴史の尺度」が示す未来 (集英社新書)
『大予言 「歴史の尺度」が示す未来』 (集英社新書、304ページ)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

非連続の中から構造を見極めるためだ。25年単位の波動の歴史がどのように数百年単位の構造に結び付いていくのか。フランスの歴史学者フェルナン・ブローデルが案内人になる。ブローデルの言葉を借りれば、「50年ごとに世界は生まれ変わり」、構造は数百年単位の長い時間をかけてゆっくり変化する。ブローデルの見通しを理論化した米国の社会学者イマニュエル・ウォーラーステインは、むしろ地政学的な議論が主体だ。

──16世紀と21世紀に類似性があるのですね。

500年も離れた2つの世紀に意外なほど多くの類似点がある。両世紀にグローバリゼーションと情報爆発という2つの大きな歴史的変化が生じる。16世紀のグローバリゼーションは大航海時代の形をとった。一方の情報爆発は、グーテンベルクの発明を端緒とした印刷革命に行き着く。活版の普及で知識や情報へのアクセスのしやすさが劇的に変化した。

この両世紀をともに時代の「入り口」と位置付けたい。16世紀からの500年にはジェノバ、オランダ、英国、米国の四つの覇権国が、いずれも約150年の波動のサイクルで継起している。150年が取り持って近代の500年が形成されるわけだ。

──50年周期の3回あるいは10回の150年、500年。

そう。ただし、4つの覇権国のサイクルは150~250年の幅を含んでいる。

困難な過渡期のなかで

──では、足元からの日本の21世紀を見通すならば?

足元の50年の後半期は、ここ20年近く次なるシステムに転換していく困難な過渡期にいる。それまでのシステムの有効性が失われ、個々の政治や産業の現場が劣化していく一方で、1990年代からのグローバリゼーションの進行を通じ、日本社会が根底から変容していく時代でもある。

──「大予言」はない?

本書で目指しているのは大きな未来についての大胆な予測ではなく、未来についての歴史的思考を可能にする条件を示すことだ。

塚田 紀史 東洋経済 記者

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つかだ のりふみ / Norifumi Tsukada

電気機器、金属製品などの業界を担当

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