42歳「遅咲き」の芸人を夫に選んだ妻の真実 アキラ100%を支える「病院のお母さん」

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雅美さんは「病院のおかあさん」と呼ばれている

さらに移植が終わった後も、雅美さんの仕事は続く。移植された臓器が体内で正常に働くように、子どもやそのご家族への生活指導も行う。医学の専門の知識だけでなく、患者と家族の気持ちがわかることが必要不可欠な仕事だ。

そう、雅美さんが保管していた手紙は、自分が担当した子どもたちがくれたもの。移植を必要とする子どもやその家族に、医者以上に寄り添う雅美さんのお仕事は、こう呼ばれている。「病院のおかあさん」。

「患者さんとかご家族の方が大変なので、大変って言っちゃいけないと思いますけど、かなり責任をもってやらないといけない仕事。患者さんとすごく近いので感情移入してしまうところがどうしてもあって、元気になる子ばかりではないので。亡くなってしまうお子さんとかもいらっしゃるのでそういう時……すごく辛いですね」(雅美さん)

忘れられない患者との別れ…心の支えとなったのは

日々、子どもの命と全身全霊で向き合う雅美さん。そんな彼女に、密着中、一通の手紙が届いた。2年前に担当した患者さんからだ。初めて封を開ける雅美さんだが「ごめんなさい、ちょっと無理……」一瞬、その手が止まった。

中を見ると、子どもの字ではなく、大人の字。この差出人は、雅美さんが担当していた大河君という男の子のお母さんだった。

大河君が雅美さんの元にやってきた時、彼は当時11歳の小学6年生。サッカーが好きなわんぱく盛りの男の子。しかし、劇症肝炎という病気を発症し、生命の危機に…命を救うためには、一刻も早く肝臓の移植が必要だった。

入院して間もなく、親族からの提供を受け、肝臓の移植手術に成功した大河君。術後、回復の兆しをみせていたが……移植から8カ月後、容態が悪化。もう一度、肝臓の移植が必要と診断された。

しかし、「肝臓だけでいうと320人くらい。ドナーとして臓器提供されている方が年間50~60人とかなり少ないので、慢性的にドナーさんがいない状態です」(雅美さん)

刻々と大河君の容態が悪くなる中、脳死ドナーからの再移植を待つ入院生活。大河君、ご家族にとっても極限に追い詰められた状態。そんな中、雅美さんは大河君の「病院のおかあさん」として全身全霊で支え続けた。

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