キタムラがTSUTAYAに助けを求めた理由 写真プリントの不振で上場来初の最終赤字に

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事業再生のパートナーにCCCを選んだのには、親密な関係があったからだけではない。デジタル化の波に勝てる事業を構築する狙いもある。

特に店舗の抜本改革への期待は大きい。電子書籍などが普及し厳しさを増す書店業界で、「蔦屋書店はあっという間に日本一になった。キタムラの写真事業も、もう一度喜んで利用してもらえる産業に一緒に変えて欲しい」と浜田社長は話す。

今回、キタムラ株の30%をCCCが所有するが、キタムラはCCCの持分法適用会社にはならないという。また将来的に子会社になることは考えていない。では30%という比率にはどのような意味があるのか。浜田社長は「キタムラが再生しないとCCCも大変になる。そういう関係で取り組んでほしかった」と説明する。

取締役の過半数をCCC関係者に

書店業界で「蔦屋書店」が国内最大手に成長したように、キタムラも成長を手にできるか(撮影:今井康一)

CCCに対する期待は役員人事にも表れている。取締役は社外取締役の2人を除いた5人のうち、3人をCCCから招聘する。6月20日の株主総会を経て、正式に就任する予定だ。

両社はキタムラ再生へ向け、ありとあらゆる策をとる。今回の業務提携の内容として、店舗網の再構築から、新業態の開発、プリントサービスの付加価値化に加え、業務改善やコスト効率化など内部改革にも触れられている。具体策はこれからだが、キタムラはどんな変身をみせてくれるのか。二人三脚の行方に注目が集まる。

田野 真由佳 東洋経済 記者

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たの まゆか / Mayuka Tano

2009年に大学を卒業後、時事通信社を経て東洋経済新報社に入社。小売りや食品業界を担当し、現在は会社四季報編集部に所属。幼児を育てながら時短勤務中。

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