「カール」販売やめる東日本での本当の売れ方 明治の看板商品、東西の売り上げは同等だが

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これは推測になるが、おそらく東日本の中でも相対的に金額が高く、人口ボリュームの大きい関東での売り上げが大きいとみられることから、明治の説明する「東日本と西日本の売り上げ比率は同等」ということになるのだろう。

ただ、一般論としては、たとえば、うどんやそばのつゆが西と東で違い、カップうどんやカップそばでもメーカーが味を変えているぐらい、関西人と関東人の根本的な食文化が違うことは少し関係があるかもしれない。地理的な条件を示してみたとはいえ、これほど“露骨”な結果となるのは私も意外だった。

関東が東日本の中でも中部、東北、北海道と比べて相対的に数字が大きいのは、西日本から首都圏へと移住してきている人が多いことが遠因にあるかもしれない。近畿と中部の差は4~5倍も開いている。関ヶ原を越えたら一気に風景が変わった。そんな感じか。

カルビー「ポテトチップス」はどうか

これはカールだけの事象だろうか。スナック菓子の王様であるカルビー「ポテトチップス」ではどうか。直近1年(2016年5月~2017年4月)において同じくスーパーマーケットにおける100万人当たり売上金額を地域別に調べてみると、下記のような結果になった(数字は概算)。

九州:284万円
中国・四国:190万円
近畿:227万円
中部:137万円
関東:130万円
東北:158万円
北海道:227万円

 

多少は西高東低な傾向が見られる。とはいえ、グラフ化してみてもカールほどのバラツキは見られない。むしろ北海道はジャガイモの産地ということもあって、全国的に見ても金額が大きい。

カールが独特な商品であるために、カルビー「ポテトチップス」との比較はあくまで便宜的なものだ。カルビー「ポテトチップス」ブランド全体の数字でもあり、絶対額に意味はない。あくまでも、地域ごとの傾向を見るものとして確認してほしい。

九州出身で今は東京に住み、たまに「カール」を買う私からすれば残念だが、愛媛に生産を一本化して西日本を攻めるほうが、明治にとっての効率はよさそうだ。しかし、東日本のカールファンにとっては寂しい話だ。すでに各社報道を受けてか、5月26日の時点で東京都内のいくつかのスーパーでカールが売り切れていた。もともと関東では売れ行きは相対的に悪くなかっただけに、「カールが買えなくなる」となれば販売終了前にきっと特需が発生するだろうと予測する。

坂口 孝則 未来調達研究所

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さかぐち・たかのり / Takanori Sakaguchi

大阪大学経済学部卒。電機メーカーや自動車メーカーで調達・購買業務に従事。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の分析が専門。代表的な著作に「調達・購買の教科書」「調達力・購買力の基礎を身につける本」(日刊工業新聞社)、「営業と詐欺のあいだ」(幻冬舎)等がある。最新著は「買い負ける日本」(幻冬舎)。

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