日揮が異色の「復職」社長に再建を託すワケ 会社を一度退職、今年2月に復帰したばかり
プラント業界最大手・日揮に異例の“復職”社長が誕生する。日揮は5月11日、6月末の株主総会後に川名浩一現社長の後任として石塚忠上席副社長が就く人事を発表した。
「三顧の礼」をかたくなに断る“意固地”者
石塚次期社長は現在65歳。佐藤雅之会長(62)、川名社長(59)とは年齢が逆転する。宮城工業高等専門学校(現仙台高専)卒業後に日揮に入った。大学卒が社長に就くのが普通の大企業にあっては、高専卒はいかにも珍しい。
さらに2015年6月には、副社長まで上り詰めたキャリアを捨てて同社を退社している。上席副社長として会社に戻ったのは、1年8カ月後の今年2月。そして2カ月後の4月には、佐藤会長から社長就任の打診を受けた。
「年齢を考えると、受けるべきかどうか逡巡した」。本人は打診を受けたときの心境を正直に打ち明ける。急転直下、あれよあれよという間の事態の進展に、青天(せいてん)の霹靂(へきれき)だったという述懐もうそではないだろう。
副社長を辞めたのは家庭の事情からだった。佐藤会長はなんとか思いとどまるよう説得したが、家庭の事情と言われれば無理強いできない。だが、佐藤会長はあきらめきれなかった。昨年11月、家庭の事情が解消に向かっているとの情報をつかんだ佐藤会長は、会社に戻るよう本人に説得を試みた。だが石塚氏の答えはノー。
石塚氏には意固地な面がある。退社した際は、仕事に関連した書類や参考資料をすべて廃棄。残したのは2000枚の名刺が入ったホルダーだけ。ビジネスに戻る気はさらさらなかった。古巣の同僚たちとはいっさい連絡を取らず、酒の誘いも断った。
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