中国の40代女性が「2人目」を今こそ産む理由

「一人っ子政策終了」で見えた世代間ギャップ

若い世代からすると、親や親戚に「寂しくないの?」「もう1人兄弟姉妹がいるといいのにね」などと言われても、周囲の友人も一人っ子なので比較する対象がない。そもそも「一人っ子だから寂しい」という考えを持ちえないのだ。

兄弟姉妹がいなくても、学校には同級生の遊び相手がたくさんいるし、放課後も激化した受験戦争に勝ち抜くための勉強に日々忙しい。兄弟がいなければ時間を持て余していたであろう、親の世代とは育つ環境がまったく違うのだ。自由な時間があれば、1人で漫画やアニメを見たり、ゲームをするのだって楽しい。「なぜ、寂しいと思うの?」と聞き返したいぐらいだろう。

さらに、中国の若者世代が育った家庭環境も、弟や妹ができることに抵抗を感じる大きな要因になっている。

日本と異なる中国の「一人っ子」の価値観

中国の一人っ子は、自己中心的で協調性に欠ける「小皇帝」とも呼ばれることは、日本でも広く知られている。一方、日本の場合、私が知るかぎりだが、一人っ子だからといって、特にわがままだということはないように感じる。

中国の一人っ子が「小皇帝」になりやすい理由は、家庭教育にあるのだと考えている。日本は戦後、西洋の影響を受けた教育制度を確立し、高度経済成長期には家庭の収入増も進んだことで、教育を受けた既婚女性が専業主婦として家事・育児を担う性別役割分業が一般化。「良妻賢母」という価値観のもとに、子どもの食生活から教育まで気を配り、立派な子どもを育てるのは自分の役割だと思う女性が多い時代があった。

一方、戦後の中国は国内政治が安定せず、教育も一時的に中断されるといった事情があり、家族がお腹を空かせないようにするのに精いっぱいという家庭が多かった。子どもも多く、共働きで、きちんと教育しようとしても、時間と心の余裕がなかったのだ。

そんな親世代から見ると、1980年代以降に生まれた子どもは、本当に幸せだとしか思えない。経済的に豊かになり、わが子には自分のように食事も十分取れず、親の愛情や教育をあまり受けられなかったというつらい経験を絶対させたくないと願う。だが、実際にどう教育するかというと、自分が十分に受けてこなかったがために、適切な方法がわからないのだ。

その結果、祖父母が孫に甘くするのと同じように、親も子どもを甘やかして育てることになった。「パパもママもあなたしか愛さないよ」「あなたは私たちの唯一無二の宝物であり、希望だよ」と褒めそやされて育てられれば、親の愛は自分だけのもの、親のものは自分のものだと思うようになるのは自然なことだ。

そこにいきなり、「弟や妹ができたらいいでしょう」「あなたに兄弟を産んであげる」と言われても困ってしまう。経済的にも、一人っ子であれば、希望どおりにどの国にでも留学をさせてくれそうだが、もう1人生まれるとなれば話は変わってくる。その先の将来を考えても、不動産などの財産の相続にも問題が起きるかも、と考えるようになる。

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