海外に行かずに外国語を習得した人の「習慣」 純ジャパニーズ×英語ネーティブの日米対談

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上乃:もっと深く、本当のことを知りたいじゃないですか。多角的に。

ファクラー:そうそう。「官僚がこんなこと言ってたけど、そんなの絶対ありえないよねぇー」って、支局みんなの口癖(笑)。

上乃:言ってる、言ってる(笑)。

ファクラー:日本だけじゃなく、アメリカでもね、ジャーナリズム専攻の学生から「ニューヨークタイムズのような新聞社に入るためには、何を勉強したらいいですか?」ってよく質問されるんですよ。そのとき、僕はいつもこう答えるんです。

「政治や経済は、自分でいくらでも勉強できる。いちばん重要で、しかも苦労するのは、語学ですよ」って。

英語が母国語のアメリカ人にとって、アラビア語とか中国語、もしくはパシュトゥン語のように普通のアメリカ人が話せない言葉ができると、価値ある存在になれますよね。しかも、ただあいさつができるとか、現地のお店で注文ができるというレベルではなく、仕事ができるレベルの語学力があれば、希少価値が高まる。

だから、若い人に向けてアドバイスをするなら、「仕事ができるくらいの語学レベルを目指すべき」ということ。ジャーナリズムに限定すれば、取材が不自由なくできるレベル。それができれば、今いる世界とはまったく異なる世界に踏み込んで、見たこともないような景色を眺められる。これは自分の経験に基づいて断言できます。

上乃:でも、そうなるまでが大変ですよね(笑)。

外国語学習の挫折を避ける方法

上乃:ファクラーさんは、学生時代に中国語の学習を始めて、その後、日本語を習得しましたよね。どちらの言語も自由に使いこなしていますけど、ずばりその秘訣は何ですか?

ファクラー:外国語をマスターする際には、まず、その言語を勉強する理由をはっきりと意識するのが大切だと思います。

さらに、その言語の魅力を意識的に探さないとダメ。なぜ勉強しているのかということを考えないとね。興味があるという気持ちを持ち続けないと、途中で挫折してしまう。

上乃:意識的に探すというのは、大切ですよね。英語を習得しようとして途中で挫折してしまう学習者が多いですけど、モチベーションを維持できないことが大きな原因でしょうね。なぜ習得したいかという動機付けの部分が非常に弱い。漠然と、英語ができたら、何かの役に立つかもしれないという思いがあるだけで、「英語を使って、私はこれをしたい」という具体性には欠けているんです。

ファクラー:僕はアメリカのジョージア州で育ったんだけど、そこからできるだけ遠い場所に行きたいっていう願望が強かった。それで、中国かソ連(当時)に行きたいと考えるようになった。そのためには、言葉が必須でしょう。それでまず集中的に語学を学んで、自分の世界を広めたいと考えた。

それで、大学で選んだのは中国語。当時の中国は、鄧小平が最高指導者だった時代。改革開放政策が導入されたこともあって、新しい可能性を感じたね。文字もアルファベットとはまったく違う。あの文字を書けたらいいなって。漢字にものすごい魅力を感じた。

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