これからは「60代で現役引退」は論外になる

問題は「高齢者の資産をどう活用するか」だ

その次に20世紀に入ってから、今度は中高年の寿命が延びるようになった。よく知られている通り、アニメ『サザエさん』の磯野波平は54歳、フネさんが52歳という設定である。今の筆者は56歳だから、波平さんの年代はとっくに超えたことになる。20世紀中盤においては、波平とフネ夫婦がわが国における平均的50代のイメージだったのだ。

そして現在、起きているのが高齢者のさらなる長寿化である。めでたいのか、めでたくないのか、平均寿命はこれからもさらに延びるらしい。『金融ジェロントロジー』(清家篤編/東洋経済新報社)によれば 、先進国における21世紀生まれ世代は半数が100歳に到達するとの試算もある。そうだとすると、「60代で引退して、後はのんびり余生を過ごす」という現在のライフスタイルは論外もいいところである。それこそ圓歌師匠や草間弥生氏のように、80代でもバリバリ仕事していただく方がよろしかろう。

少子高齢化問題はかくも深い。日本政府が出生率の予測に失敗したことは誰もが知っている。が、もうひとつの誤算は、「日本人がこんなに長生きするようになるとは思ってもみなかった」ことである。現在起きている現象は、①乳幼児の死亡率改善、②中高年の死亡率改善に続く、③最高寿命の伸長という人類史上の第3段ロケットなのかもしれないのだ。これでは医療から年金まで、いろんな制度設計を急いでやり直さなければならない。

高齢者の資産をどう成長分野に振り向けるか

もちろん金融も、である。今は「高齢者の金融資産」問題というと、オレオレ詐欺からどうやって守るか、遺産相続で揉めないためにどうするか、といった後ろ向きの話が多くなる。しかし1700兆円もの国民金融資産のうち、3分の2は高齢者が保有しているといわれている。そのうちかなりの部分が、銀行預金に滞留していることは想像に難くない。

いや、もちろん高齢者に過度なリスクをとらせるべきではあるまい。しかるに日本経済が、なかなかデフレから抜け出せない理由の一つがここにありそうだ。この資金をどうやって成長分野に振り向けていけばいいのか。高齢化時代の投資はどうあるべきなのか。いやはや、大テーマというべきではないだろうか。

え?いくら連休中だといえ、暢気すぎる話題なんじゃないかって? 確かに今週は、緊迫する北朝鮮情勢からトランプ政権100日目、週明けに控えるフランスおよび韓国大統領選挙まで、地政学リスク満載の時期である。
ご不満な読者は是非、KADOKAWAから出版された『トランプは市場に何をもたらすか!?』をご一読いただきたい 。竹中平蔵、宮家邦彦の両氏と不肖かんべえの3人が、トランプ政権下の国際情勢と投資の在り方を論じている。外為どっとコム主催の人気セミナーに新たな情報を加筆しているので、恥ずかしながら若干の宣伝まで 。

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