株価は、円高の割には頑張っている
いわゆるトランプラリーが始まったのは昨年11月だった。このあたり、つまり6カ月くらい前から現在までの日経平均株価とドル円の為替レートの推移をグラフで見ると、上げ下げのタイミングはおおよそ一緒である。だが、日経平均は、後半の(すなわち最近3カ月の)為替レート推移が円高気味の割には大きく下げていない。これを、「日本企業の業績が堅調だから」と見るか、「日銀のETF(上場投資信託)買いが下支えしているから」と解釈するかは、その人の市場観が表れる微妙なところだ。「両方あるのではないか」と言っておくと、大人の発言になる。
一時は、底が抜けるかに見えた日経平均も、ここ数日で大きく値を戻して、1万9000円台を回復した。個人投資家の行動を推測するに、「地政学リスク」などを嫌って1万8000円台で株式を売ってしまった人は、ここで買い直す気持ちにはなりにくいだろう。投資にハラハラ・ドキドキは付きものなので、ある種の鈍感さを身に付けて、リスク資産の投資ポジションを維持し続けることが好結果につながる場合が多い(「絶対」とは言えませんが)。
ただし、ポジションを持ち続けられるようにするには、リスク資産への投資額を自分にとって大きくしすぎないことと、十分な分散投資を行って対象に偏りを持たせないことが重要だ(投資商品をたくさん持つ必要はないが、投資の実質的な中身が十分分散されたものを選ぼう)。
さて、「オバマケア」の廃止法案に失敗して勢いを削がれた印象のトランプ政権だが、大規模な減税案を出して来た。今のところ、「議会との調整 難航必至」(日本経済新聞)という見出しが記事に付いており、減税案の発表当日の4月26日の米株価もはかばかしく反応していない。だが、部分的にでも実現すると、株主への利益配分が直接的に増したり、海外に留保された資金が米国に回帰したり、といった現象(ドル高につながる)が急激に起こる可能性があり、「トランプラリー第2弾」が始まる可能性がある。
本連載の筆者で、過去にドナルド・トランプ氏とビジネス上の付き合いがあったぐっちーさんが近著(『勇敢な日本経済論』高橋洋一、ぐっちーさん著。講談社現代新書)で語っておられるように、トランプ氏は計算のできる現実主義者だ。どうやら、ウォール街及び軍産人脈が主導権を取りつつあるトランプ政権下で、税制改革案がなにがしか実現する可能性は小さくないだろう。
投資家としては、「アテにはできないが、少し楽しみにしてもよい」、というくらいの感じで、内外の株式市場に釣り糸を垂らしておいていいだろう。
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