マリーヌ・ルペンが支持を伸ばした真の理由 父ジャンマリーを追放した効果は大きかった

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左派支持者たちは中道独立系で数万人規模の公務員削減を掲げるマクロン候補を支持するかどうかで割れている。それを如実に示したのが、5月1日のメーデー・デモだった。参加団体によって時間帯をずらし、2手に分かれてのデモとなった。

2002年の大統領選挙のように、「反ルペン」(当時のルペンとは父親のジャンマリー氏)という旗印の下、左派系も含めて一丸となって危機バネを働かすことができた時代は過去のものになった。

次の戦いは6月の国民議会選挙

もし7日に行われる決戦投票で世論調査の予測通りに40%あるいは30%台の後半を取れれば、ルペン候補、そして国民戦線にとっては大きな勝利とも言えるだろう。

国民戦線はすでに、堂々とした「主流」になってしまった。この点が2002年の「ルペンショック」との大きな違いだ。つまり、この現象はすでにショックではなくなったわけである。「反移民」を一つの主張として出す政党を多くの国民が支持しているのが現実なのだ。

マクロン革命を表紙にした雑誌、パリ市内の新聞販売所で(筆者撮影)

マクロン候補に敗れる可能性が濃厚だが、だからといってルペン候補が率いる国民戦線の勢いが止まるわけではないだろう。次の戦いは6月の国民議会選挙だ。

マクロン候補は昨年、自身の運動「前進!」を立ち上げたばかりで、国民議会(定数577)には「前進!」に所属している議員はまだいない。 国民戦線の議席数もわずか2議席だ。今度は、総選挙を舞台にして「ルペンvs.マクロン」の攻防が続くことになるだろう。

マリーヌ・ルペン候補にとって、大統領選に立候補したのはこれで2回目。前回2012年には第1回目の投票で敗退した。得票数では第3位だった。今回は第2位となって、決選投票まで進んでいるのだから、着実な前進である。次期大統領選(2022年)実施時にルペン候補は53歳。マクロン候補は44歳になっている。両者ともにまだまだ「降りる」年齢ではない。ルペン候補にとって、次の大統領選への助走はすでに始まっているのかもしれない。

小林 恭子 在英ジャーナリスト

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こばやし・ぎんこ / Ginko Kobayashi

成城大学文芸学部芸術学科(映画専攻)を卒業後、アメリカの投資銀行ファースト・ボストン(現クレディ・スイス)勤務を経て、読売新聞の英字日刊紙デイリー・ヨミウリ紙(現ジャパン・ニューズ紙)の記者となる。2002年、渡英。英国のメディアをジャーナリズムの観点からウォッチングするブログ「英国メディア・ウオッチ」を運営しながら、業界紙、雑誌などにメディア記事を執筆。著書に『英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱』。

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