ネットで「炎上」した痕跡は2度と消せないのか Googleの検索結果を操作できる仕事がある?

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ジョーク写真をSNSに投稿したら、大炎上してしまったリンゼー・ストーンは、その後も「検索される恐怖」に怯えながら生きることになった。その痕跡は2度と消せないのだろうか(写真:Rawpixel / PIXTA)
瞬く間に拡散され、膨大な数のコメントが殺到する――。ツイッターやフェイスブックなどのSNSを舞台にした“炎上”は、いまや日常的なものになった。アメリカ大統領自ら、ツイッターで個人攻撃を繰り返し、「偽(フェイク)ニュース」を拡散する。
ネットとは、もっと自由で、誰もが無料で有益な情報を入手できる希望に満ちた世界ではなかったか? なぜ、こんなことになってしまったのだろうか?『ルポ ネットリンチで人生を壊された人たち』の筆者、ジョン・ロンソン氏が、現在のネットの負の部分に焦点を当て、その深層を分析する。

 

介護士のリンゼー・ストーンは、2012年10月に開催されたワシントンD.C.旅行に参加した。彼女が参加するLIFE(Living Independently Forever = 生涯自立して生きる)という非営利団体の主催する、学習困難を抱える成人の支援の一環だった。彼女は友人のジェイミーとともに高機能学習障害を抱えた人たちの支援に熱心に取り組み、障害者の家族からも好評を得ていた。ナショナルモール、ホロコースト記念博物館、スミソニアン博物館、アーリントン国立墓地、アメリカ造幣局などを訪れ、無名戦士の墓も見た。楽しい旅行だった。

フェイスブックでのジョーク写真が、命取りに

だが、この旅行が彼女にとって身の破滅の原因となった。ストーンには趣味があった。ジョーク写真を撮ることだ。たとえば、「禁煙」の表示の前で煙草を吸っている写真、銅像の前で像と同じポーズを取っている写真など、ふざけた写真を頻繁に撮っていた。アーリントン国立墓地でも、「静寂と敬意を(Silence and Respect)」という表示を見て、1枚撮ることにした。その写真は、自分が表示の前で中指を立てて叫んでいるもの。写真を撮ったジェイミーはフェイスブックに投稿し、ストーンをタグづけした。「きっと大受けだろうと思っていた」とストーンは話している。

投稿のあと、しばらくは静かだった。何人かの友人が気のないコメントをしてきた程度だ。友人の中には過去に軍にいた人もいたが、「あんまり気分のいいジョークじゃないね。悪趣味だ」と言ったくらいだった。

それに対し、ストーンはこう返信した。「いやいやいや……これが私たちだから、悪い子だから。いつも権威に盾突いている。(中略)もちろん、軍で国のために働く人たち、働いてきた人たちに対する敬意はあります。それは別の話」(2012年10月20日のフェイスブック投稿から)。

これまでもジョーク写真でトラブルになったことはないし、今度も特に心配はいらないだろうとストーンは思っていた。

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