マリーヌ・ルペンが支持を伸ばした真の理由 父ジャンマリーを追放した効果は大きかった

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会場前には入場検査を受けるために、数千人規模の参加者が並んでいた。フランスの国旗を持って「ルペンを大統領に!」と叫ぶ人もいれば、家族連れや女性同士あるいは男性同士のグループでやってきて、おしゃべりに興じている人もいる。赤、白、ブルー3色のフランス国旗を自分なりにアレンジしたファッションを身につける人が多い。

左からヘンリエッタさん、ジュリーさん、フランソワさん(筆者撮影)

サングラスを3色カラーにした女性がいるグループになぜルペン候補を支持するのかを聞いてみた。「フランスの主権を取り戻してくれるからよ」とヘンリエッタさん。南部ボルドーの農家の一人だ。親戚のフランソワさん、その娘のジュリーさんと一緒にやってきた。「欧州の大国としてのフランスを、マリーヌ(ルペン)だったら大切にしてくれる」。

フランソワさんは町の薬局で働いている。離婚後、二人の子供を一人で育ててきた。「マリーヌも3人の子供を持つ母親よね。一人の女性としてよくここまで頑張ったと思うわ。なんとか、当選させたい」。フランソワさんは自分の名前を筆者のノートに書き込む時、「子供の一人は中国人と結婚したの」と言って、私にウィンクした。国民戦線は「人種差別主義の政党」と言われるため、そうではないことを示そうと思ったようだ。

「政策が現実的」

若い男性数人が固まっている中の一人に声をかけた。環境保護のNGOに勤務するスティーブンさんだ。

「フランスの国益を守るというルペンの議論は重要だと思う」。ルペンとマクロンの政策を比べると、「ルペンの政策の方が現実的だと判断したので、ルペンに投票する事に決めた」。

ナチスのユダヤ人虐殺「ホロコースト」を「第2次世界大戦の歴史の瑣末な出来事だ」と述べたり、強い外国人嫌いで知られるジャンマリー・ルペンがマリーヌ・ルペン候補の父親であることが気にならないかと聞くと、「今は娘の時代。関係ないと思う」。

約1時間後、会場奥の舞台上にルペンが登場した。約1時間にわたる熱っぽい演説でルペンは「マクロンは権力に必死にしがみつくオランド大統領よ」と対立候補を斬り捨て、会場から熱狂的な喝采を浴びた。「フランスはEUから『独立』を取り戻すべき」。場内のいくつものフランス国旗が揺れ、大きな拍手が起きた。

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