北朝鮮問題で米国と中国を待ち受ける「誤算」 中国による圧力が気に食わない国がある
文氏は、金大中元大統領の「太陽政策」路線に沿って、北朝鮮への全面的な関与の復帰を表明した。これは、米国との同盟関係に支えられた強力な防衛力をベースにしたものではあるが、独自のミサイル防衛システムを含む独立国家としての韓国の軍事力を強化する、と同氏は語った。
ちなみに文氏はTHAAD配備には反対。また、6者協議の再開と北朝鮮との経済協力の再開を提案しており、これを最終的に経済的統一計画につなげる考えのようだ。
「ゲーム自体が崩壊する可能性もある」
さらに、もっとも重要なのは、このプロセスを中国や米国ではなく、韓国が主導すると文氏が主張していることだ。「今後は、北朝鮮を変えるために『中国の役割』に依存するのではなく、『韓国の役割』に基づいた新しい南北政策の枠組みを形成することとする」としている。
トランプ政権の「中国に任せろ」政策は、文氏からも、彼の顧問からもほとんど支持されていない。韓国政治に精通した米国高官によると、「韓国の進歩主義者たちは、中国がこの問題を解決するというストーリーに激しく反対している」という。「彼らは中国にこの件を任せようと思っていない。制裁は効かないという北朝鮮の主張を受け入れ、北朝鮮における中国の影響力を弱めたいと考えている」。
トランプ大統領は、最近の取材で韓米自由貿易協定を終了する準備ができていると述べたほか、韓国側にTHAAD配備の費用として韓国に10億ドルを支払うよう求めたが、これは両国間の既存の合意に反するだけでなく、THAAD配備に反対してきた進歩主義者たちを激怒させることともなった。 H.R.マクマスター国家安全保障顧問は、韓国の金寛鎮国家安保室長との電話会談で、以前の合意を確認する旨を伝え、和解を試みたが、ダメージは避けられなかった。
ここ数週間の米国防長官や国務長官、副大統領の訪韓にもかかわらず、米国の高官たちと、韓国で政権に就くことになる面々とは接触が見られない。現在に至るまで、「進歩主義者たちは米国の話を聞く気分ではない」と、前述の高官は話す。「ゲーム全体が崩壊する可能性もある」。
就任以来、外交問題で手一杯のトランプ大統領が胸をなでおろせる日はまだ来そうにない。
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