北朝鮮問題で米国と中国を待ち受ける「誤算」 中国による圧力が気に食わない国がある
もっとも、中国の政策担当者たちは、今回の中国の戦略変更が、米国の「脅し」によって引き起こされたという点については否定している。前述の北朝鮮政策責任者によると、瀬戸際政策は米国と北朝鮮の両者が行っているよく知られた戦略だと語る。中国はトランプ大統領が北朝鮮への軍事行使をちらつかせる以前から、北朝鮮への圧力を強めていたという。
一方で、こうした曖昧な脅威に対して、北朝鮮が対抗し、これがさらなる米国による行動を促す、という形でエスカレーター式に全面戦争へ上り詰める危険性があるのではないか、という米国側の懸念については、中国の政策担当者たちも同意している。
中国は本当に北朝鮮に圧力をかけているのか
はたして中国は、実際に北朝鮮に圧力をかけているのだろうか。これはここ数週間にわたって中国の港湾に石炭を運ぶ北朝鮮の貨物船の動きや、両国を結ぶ中朝友誼橋を通る交通の流れを調べてきた各国政府や情報アナリストが考えてきたことである。
中国はその努力の証拠として、2月下旬と4月下旬に北朝鮮の公式メディアに中国に対する珍しく単刀直入な批判が掲載されたことを挙げている。この批判記事はどちらも「ジョン・フィル」(仮名と考えられている)の名で書かれていた。両記事の内容は明らかに中国を指し、制裁を科すという脅迫をはねつけ、「他人の音に合わせて踊る」ことは決してしないと誓っている。
中国によるこうした取り組みは米国の期待に応えるだけのものなのか。少なくともトランプ大統領や顧問たちがそのように信じているのは明らかだ。米中首脳会談および電話会談後のコメントでトランプ大統領と高官たちは、中国側の報告でも述べられた両国の「理解」について同じことを語っていた。
トランプ大統領は、米中による行動の引き金となるのは、核兵器やICBMの実験だと明確に打ち出したが、先日行われた短距離ミサイル実験のようなものはその中に入っていない。
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