北朝鮮問題で米国と中国を待ち受ける「誤算」 中国による圧力が気に食わない国がある

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大統領は米CBSテレビのインタビューで、「彼が核実験を行えば」と金正恩を指して述べ、「私はよい気持ちがしないだろう。そして言っておくが、中国の国家主席、大変尊敬されている方だが、彼にとっても、よい気持ちがしないに違いない」と語っている。

トランプ政権はまた、北朝鮮の非核化を目指す中で、その中に政権交代を含まない姿勢も明らかにしている。

レックス・ティラーソン国務長官は、先ごろNPR(米公共ラジオ局)に、米国は北朝鮮と直接に対話する意思があると述べたが、核とミサイル計画を一時的に凍結する、という以前の取引に戻ることはありえないとしているようだ。「正しい議題とは、北が単に数カ月間とか数年間(核開発を)中止し、再開する、といったことではない。過去20年間この議題は変わっていない」(ティラーソン国務長官)。

中国の真意はどこにあるのか

だが非公式には、中国はトランプ大統領を納得させ、わがままな依存国をそのままの状態に保ち、しかも米国の影響力を朝鮮半島に寄せ付けないようにすることができると確信している。今、中国が望んでいるのは、以前の合意に基づいて米国・北朝鮮間の交渉を再開させ、すべての核・長距離ミサイル計画を再凍結するための交渉を行うことだ。

こうしたなか、中国と米国にとって予想できない展開をもたらす可能性があるのが、韓国である。同国では5月9日、汚職による起訴に直面している朴槿恵前大統領の弾劾を理由に、早期選挙で新大統領が選ばれることになっている。

大統領の最有力候補は、盧武鉉元大統領の首席補佐官だった「共に民主党」の文在寅氏。同氏は先週、北朝鮮に対する今後の政策について声明を発表した。しかし、大言壮語的なトランプ大統領のどのインタビューよりも重要だったにもかかわらず、韓国外ではまったくといっていいほど無視された。

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