給与明細で「手取り」だけ見る人は損している 何が「天引き」されているかをご存じですか?

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また、高額の医療費がかかってしまう場合も、高額療養費制度を利用すれば、1カ月に支払った医療費について、一定の自己負担限度額を超えたおカネが戻ってきます。たとえば、医療費総額が100万円で、自己負担分30万円を支払った場合、約8万7千円が自己負担限度額となりますので、約21万3千円が戻ってきます(70歳未満で標準報酬月額28万~50万円の場合)。

最初から入院することがわかっているときは、あらかじめ「限度額適用認定証」を発行してもらうことで、退院時に病院に認定証を提示すれば、支払いが自己負担限度額まで、上記の例であれば約8万7千円で済んでしまうのです。

厚生年金保険料は、給与から天引きされている保険料の中でも高額ですが、これは将来もらえる年金につながっています。これからは今まで以上に長寿社会です。特に女性の平均寿命は男性よりも長いので、たとえパートナーがいても最後はおひとり様になってしまうことを覚悟しておかなければなりません。

老後の生活保障としてもらえる「老齢年金」は、原則として65歳からもらい始めることができます。実際にあなたがいくらもらえるか、簡単に知る方法は、「ねんきんネット」を活用すること。今後何歳まで働き、いくら稼ぐかを予測して、いろいろとシミュレーションすることができますので、ぜひサイトにアクセスしてみてください。

年金は老後ばかりではなく、病気やケガで障害を負ってしまったときの「障害年金」や、一家の働き手が亡くなってしまったときに生計を維持されていた配偶者や子どもに支給される「遺族年金」もあります。

「専門実践教育訓練給付」は18年から年間56万円に

給与明細から天引きされている保険料の中で、もっとも金額が少ないのが雇用保険料です。日頃あまり注目されませんが、実は活用する場面が意外と多いのをご存じでしょうか。

たとえば、退職・転職活動をするときにもらえる「失業手当」(正式名称は「基本手当」)、育児休業を取るときにもらえる「育児休業給付金」、介護休業を取るときは「介護休業給付金」もあります。

また、スキルアップを図りたいときは、「教育訓練給付金」があります。従来からある一般教育訓練給付金に加えて、専門的なスキルや資格を取って、これからのキャリアに生かしたいなら「専門実践教育訓練給付」がおすすめです。当分の間、雇用保険の被保険者期間が2年間ある人ならば受けられるので、1度どのような講座が受講できるか調べてみるのはいかがでしょうか。最大で年間48万円、2018年1月からは最大で年間56万円分と拡大するので、これからがチャンスです。

このほか、給与明細書には載っていませんが、労災保険もあります。なぜ明細に載っていないかというと、保険料を全額事業主が負担しているから。通勤途中や業務上の傷病は労災保険でカバーされるので、いざというときも安心です。

給与明細書から天引きされているそれぞれの保険料には、私たちの生活に役立つ仕組みがいろいろとあります。こうした仕組みを知って、ぜひうまく活用していただければと思います。

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