それでも産みたい…「卵子凍結」する人の本音 385人の不安に、医師と経験者が回答

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Q 卵子凍結保存をするにあたり、不安だったことはありますか?

まずは、金銭面。保険外診療であるため、十分に準備していたはずのおカネが予想外のスピードでなくなっていき、採卵前の検査途中の段階から、「採卵して保存するまで一体いくらに膨らむのだろう」と思いました。だいたいの目安はわかっていたものの、途中で薬や注射が増えたこともあり、予想外の出費に。人によって異なることを前提に言うと、助成がない場合は約100万円を準備しておけば安心できる、というイメージで臨むのが良いのではないでしょうか。

次に、普段どおり働きながらの採卵準備。排卵誘発剤を打ち始めると、体がだるくなることがしばしばありました。その排卵誘発剤は、「自己注射」という形になります。最初は、自分で自分に注射するのをイメージするだけで恐怖感があり、ストレスになりました。しかし、実際にやってみると、使いやすいペンタイプで、皮下に注射するため、まったく痛みはなかったし、力を入れなくても注射することができました。

最後に、採卵手術そのもの。膣から棒状の器具を入れて「刺す」わけで、他のところを誤って刺してしまうリスクがないわけではない、という説明を受けていました。それが非常に不安でしたが、それは医師の技術に託すしかありません。ただ、医師や病院は慎重に選ぶべきだと思います。

痛みや、体調の変化について

Q 採卵の時はどうでしたか、痛みなどはどの程度なのでしょうか?

全身麻酔の点滴が始まると、あっという間に意識がなくなり、次にうっすらと医師の声が聞こえたときには採卵が終了しているので、痛みはまったく感じませんでした。終了後も麻酔が抜けきっていないため、3~4時間ベッドで休み、しっかり歩けるようになってから帰宅。下腹部が痛むとか、違和感を感じることはまったくありませんでした。

なお、医師によると、全身麻酔ではなく局所麻酔で実施する病院もあるようですが、意識がしっかりしている中で、ゴソゴソと10回以上腹部をつつかれる感覚がわかるのはやはりつらいという声があると聞きました。また、局所麻酔にして患者をすぐに帰宅させることでベッドの回転をよくする、といった、ビジネスの観点から合理的な選択をする病院もあるようです。

採卵後は、私の場合は特に体調などに変化はなく、通常どおり働くことができました。

35歳で実施したこの女性は、4つの卵子を凍結保存。本当はもう少し多くの卵子を取りたいと思っていたため、もう1回くらいは採卵に挑戦したいと話してくれた。

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