それでも産みたい…「卵子凍結」する人の本音 385人の不安に、医師と経験者が回答
卵巣の凍結というのは、卵子が入っている卵巣を切除して、そのまま凍結保存する方法。全身麻酔を伴う手術で行われ、費用も保険適用外で合計60万から70万円ほどかかる。体への負担、金額を考えると卵子凍結保存のほうが良かったのだが、卵子を採取するために使う排卵誘発剤が乳がんを進行させてしまうということで、仕方なく卵巣自体の踏み切ったという。
彼女は現在も抗がん剤を使って、乳がんの治療を続けている。もちろん、将来、子どもを持つこともあきらめてはいない。
選択肢が増えたことによる迷いも
選択肢が増えた現代だからこそ、その多様さに悩む一面もあるだろう。未来が見えない中で、今の自分は何ができるのか……。
「若いときの卵子を凍結して保存しておけば、もしかしたら」
「高齢でも不妊治療を続けていれば、もしかしたら」
そんな期待を掛けられる時代になったからこそ、迷うということもまた事実だ。
一方で、妊娠・出産という過程において、何をするにしても体への負担が大きいのは女性だということは間違いない。年を重ねた後、自分のお腹に自身で注射をしながら、どうして私が……と悩む女性は、決して少なくないのだが、彼女たちは表立っては多くを語らない。
卵子凍結保存は、あくまでも数ある選択肢の1つにすぎないし、関係者たちもすべての女性に勧めているわけではない。私がこの取材で何度も耳にしたのは、「いつか、卵子凍結という選択肢がなくなる日が来てほしいと思っている。そんなことをしなくても出産できる社会になるべきだから」という声。
社会の変革はもちろん急務ではあるが、それと同時に出産を希望する女性たち自身も、もっと現実を理解し、できるだけ無理のない形で授かれるようになることを願ってやまない。
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