それでも産みたい…「卵子凍結」する人の本音 385人の不安に、医師と経験者が回答

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1度に卵子がいくつ採卵できるかは個人差があるが、あまりにも強い排卵誘発剤を使うと、卵巣刺激症候群になることがある。不安な点も多いだけに、医師の詳しい説明が必要になるのだが、有名な不妊治療クリニック等で実施した人からは、十分な説明がなかったという声も聞く。今後、卵子凍結保存の実施者が増えてくる場合は、この説明の必要性なども検討されるべきだろう。

大病を患う前に、可能性を残しておくという意味も

卵子凍結保存は、健康な女性が卵子を凍結保存というイメージで語られることが多いが、実際には持病を持っている女性が実施している場合もある。

今回のアンケートに回答を寄せてくれた385人の中でも、子宮内膜症や卵巣嚢腫などの病気を挙げている人は少なくなかった。子宮内膜症や卵巣嚢腫などの病気は患者数が増えていることもあり、20代の人からは、助成さえあれば今すぐにでも卵子凍結をしたいというコメントも複数あった。

また、一見関係のないような病気でも、妊娠に影響する治療法を選択せざるをえないこともある。

「35歳で大病を患い、妊娠に影響する投薬を受けた。投薬前に知っていたら絶対に卵子凍結していた。(43歳・会社員・東京都)」
「アトピーで比較的強い薬を常時服用していたため、したくてもできなかった。しかし、自分がもし薬を服用しておらず、若いときに卵子の凍結保存ができることを知っていたら、実施を検討していたと思う。(35歳・会社員・神奈川県)」

特によく耳にするのは、悪性腫瘍(がん)の場合。今回のアンケートでも、悪性腫瘍(がん)に罹患している方が4人、現状をコメント欄に記してくれた。どの方も女性特有のがん、子宮頸がんと乳がんだった。

「私は25歳の時に子宮頸がん初期治療として手術を経験しました。初期だったため妊娠にあまり影響はないと先生からは言われていますが、周りの友人などに比べると妊娠しづらいのではないか……とずっと思い続けています。今のところ卵巣は正常だと言われていますが、自分の妊娠力にはとても不安があります。今は彼氏がいますが、結婚するかはわかりません。この先良きタイミングで結婚できなかった場合に備え、私の住む場所でも助成があれば絶対にしたいです。(27歳・会社員・兵庫県)」
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