トヨタが住友の源流企業と株を持ち合う理由 HV・EVに不可欠な材料の調達が重要課題に
トヨタ自動車がここ数年、ある企業との株式持ち合いを進めている。住友財閥の源流企業、住友金属鉱山だ。かつての別子銅山、国内最大の金鉱山である菱刈鉱山などの開発で有名だが、今では製錬のほか材料事業も手掛ける非鉄金属大手である。
両社の持ち合いは、2012年7月から始まった。住友金属鉱山がトヨタ株を212万4500株を取得。2013年9月には473万8300株まで、さらに今年1月には548万2500株(保有比率0.166%)にまで買い増しした。
一方、トヨタも住友金属鉱山の株式を同時期に、同額分、市場から買い増ししている。昨年9月末で1891万株(保有比率3.2%)だったトヨタの保有する住友金属鉱山の株式は、今年3月末現在では2211万6000株(同3.8%)となった。この株式数は三井住友銀行や住友不動産、住友生命保険など住友グループの株主よりも多く、第4位の大株主であり、信託銀行の信託口や自己保有株式を除くと、最大株主となっている。
バッテリーの正極材料を共同開発
なぜ、両社は株式を持ち合っているのか。
住友金属鉱山は、トヨタのハイブリッド車(HV)「プリウス」と「アクア」に搭載されている二次電池(バッテリー)の正極材料を供給している。具体的にはニッケル水素電池の正極材料である水酸化ニッケルのほか、新型車ではリチウムイオン電池の正極材料(NMCといわれる三元系の正極材料)も供給している。プリウスに使われている正極材料は、トヨタの子会社であるプライムアースEVエナジーと共同開発したものだ。
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